【無印名盤 Vol.12 ]癖ある選曲を華麗にDJ MIX!United Future Organization(矢部直)/City Lights

某大手レコード店元バイヤーがおすすめするそこまで売れていないけど中古であったら聴いてほしい名盤シリーズ。

今回はこちらです。

United Future Organization(矢部直)/ City Lights(DJ MIX)

1 KIP HANRAHAN / Shahrazade

2 TALVIN SINGH feat LEONE / Distant God

3 椎名謙介 / Ring of Fire

4 久石 譲 / Play On The Sands

5 MONDAY満ちる / Fading Beauty (Chilln’ Winter Mix)

6 ECD / 俺たちに明日はない(青木誠 REMIX)

7 TOM WAITS / Hang On ST. Christpher

8 BALLIN’ JACK / Try To Relax

9 GILBERTO GIL / Eu So Quelo Um Xodo

10 Luiz Henrique feat WALTER WANDERLEY / Happy Birthday

11 CAL TJADER / Souled Out

12 HARVEY MANDEL / Jive Samba

13 UNITED FUTURE ORGANIZATION / Moondance

14 VIBRAZIONI PRODUCTIONS / Je Ne Sais Pas Pouquoi

15 ALEX REECE / Jazz Master(Kruder&Dorfmeister Remix)

16 COURTNEY PINE / Don’t X’plain(Flytronix Mix)

1998年リリース。

名盤「3rd Perspective」発表1年後にリリース。

日本のクラブジャズシーンを牽引していた勢いのある頃の矢部直氏によるDJ MIX CD。

収録曲からは想像が難しいですがこれはDJ MIX CDです。

基本的にはフェードイン・アウト、カットイン・アウトといった繋ぎですが、グルーヴを損なうことなく、ストーリー仕上げで選曲するあたりはクラブフロアという現場で磨かれたセンスが光っています。

そして選曲もクセが強い!

クラブでいうところのYELLOWというよりかはBLUEよりの選曲。

踊るというより心地良いグルーヴに身を委ねているという感じです。

圧巻なのは北野たけし映画「ソナチネ」の浜辺で相撲する名シーンで流れていた久石譲「Play On The Sands」。

沖縄の三線の音色がなんとも心地よいリゾート感溢れた曲です。

続く、Monday満ちる「Fading Beauty」からECD「俺たちに明日はない」までの選曲も奥行きがあります。

特にこの青木誠REMIXは言葉がより明確に伝わります。

「シャツを乾かせ夜の風・・・まともな人たちなら睡眠しているあいだに俺らSWIMMIN’・・・遅いぞぉぃ、追いついてこい!!」

心地良いグルーヴにうっとりしていたところガツンと目が覚めるリリックです。

そしてTOM WAITSも聴かせかたでCLUBサウンドになるんだと感心します。

そしてUnited Future OrganizationもカヴァーしているGILBERTO GILの名曲「Eu So Quetro Um Xodo」。

ブラジルのフォーク・ポップ・ソング、キュンとくるメロディーがたまりません。

ちなみにUnited Future Organizationヴァージョンはこの「Make It Better」。

次は誰でも知っている「Happy Birthday」。

このような大胆な外しをこうカッコよく決めてくるのは経験の差でしょうか。

大胆な選曲の後はヴィブラフォン奏者CAL TJADERの心地良いラテン・ジャズをチョイス。

JEFF BECKにも影響を与えたフージョン・クロスオーバーの隠れた名曲「Jive Samba」。

浮遊感漂うエクスペリメンタルなギターワークがムーディー。

ここでやっと自身の曲「Moon Dance」。

VAN MORRISONによる名曲のカヴァー。

クラウディア嬢による官能的なポルトガル語のヴォーカルにグッときます。

「Loud Minority」や「Fool’s Paradise」を選曲しないところに商売っ気がありません。

このあたりからようやくクラブサウンドというかドラムンベースが登場します。

ジャズ系ドラムンベースの清涼感ある音色が特徴のALEX REECE「Jazz Master」

ラストは当時のイギリスのニュージャズ界を代表するサックス奏者COURTNEY PINEによるBILLIE HOLIDAYのカバー曲を大胆にドラムンベース仕様にした「Dont’ Xplain」でフィニッシュ。

ここまで自由な選曲でDJのクセが出せるMIX CDがよくメジャーからリリースされたなと感心します。

2000年代前後にリリースされたMIX CDはクラブ現場のリアリティが詰まっている作品が多いです。

晩酌が美味くなるそんな逸品です🙂

でもやっぱりこの曲はカッコ良すぎます↓

United Future Organaization / Loud Minority

↓伝説のクラブ「YELLOW」のラストマンスリーガイド

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