
筆者が個人的に“神サブスクリプション”と捉えているのがApple Music。
月額1,080円でメジャー・インディーズ問わずあらゆる楽曲が聴き放題。
新作もリリース当日にすぐアクセスできるため音楽ファンにとっては非常に魅力的なサービスだ。
今回は、Apple Musicで聴くことができるDJ MIXの中から、筆者が日常的に聴いているクロスオーバー系の作品をいくつか紹介していきたい。

筆者紹介・・・元大手CDショップにてクラブ/テクノのバイヤーを担当。
ケン・イシイ、石野卓球、田中フミヤ、DJ EMMAといった日本のレジェンドDJたちを敬愛。
自身も趣味でDJ活動を行い、現在も定期的にクラブへ足を運び続けている、音楽熱の冷めないアラフォー世代。
DJ KENTARO / Contact
世界最大のDJバトルイベント「DMC World Final 2002」でアジア人として初めてワールドチャンピオンに輝いたDJ KENTARO。
今回のミックスではジャンルの壁を一切取り払ったクロスオーバーな選曲を展開し、各トラックを巧みにミックスしながらターンテーブルを駆使したコスリ技を惜しみなく披露。
特に注目すべきは、テクノDJたちの間で神曲と称されるGALAXY 2 GALAXY「Hi-Tech-Jazz」を、なんと2枚使いでカットアップし新たなアレンジを生み出している点。
これには聴く者が思わず絶句するほどの衝撃。
テクニカルなプレイとジャンルを超えた選曲が融合したまさにDJ KENTAROの真骨頂といえるミックス!
ZEN-LA-ROCK / VISION
ヒップホップの枠を越え、ファッションやストリートカルチャー全体を巻き込みながらキャリアを築く ZEN-LA-ROCKによるセンスの塊のような選曲が光るDJ MIX。
冒頭から自身と鎮座ドープネスとG.RINAとのユニットFNCYのぶち上げキラーチューン「Saturdays Vibrations」でクライマックスのような幕開け。
シティポップ・リヴァイバルアンセム松原みき「真夜中のドア〜Stay with Me〜」をネタ使いのようにショートでミックス。
ここからTEI TOWAの「Forget Me Nots」という予測不能な選曲から、武田と哲也「愛を探して」でパッとフロアが色気づく。
Sylvia StriplinからArmand Van Heldenとネタ元からネタ使いへミックスするというユニークな展開から宇多田ヒカル「Traveling」からの安全地帯「じれったい」までのミックスは連続打ち上げ花火のような華やかさがある。
Logic1000 / DJ-Kicks
オーストラリア・シドニー出身、現在はベルリンを拠点に活動するプロデューサー/DJ、Logic1000。
DJミックス・シリーズの名門〈DJ-Kicks〉からリリースされた本作では、クラブサウンド志向から一歩引き、ダウンテンポを基調とした選曲で、静かな始まりの時間に寄り添うようなミックスに仕上がっている。
オープニングから穏やかで瞑想的な雰囲気が全体を包み、中盤ではエレクトリックでアンビエントな選曲でディープな世界観に没入していく。
そして、終盤からビート感とエモーショナルな展開で徐々にクラブ的なエッセンスが加わり日常に引き戻され、静謐ながらも明確な起伏を描き、ひとつの物語として成立しているミックス。
Quantic / DJ-Kicks
イギリス・ウォーリックシャー出身のマルチ楽器奏者でありプロデューサー兼DJQuantic。
このミックスの目玉となるのが、彼が20年以上のキャリアの中で築いてきた幅広い音楽的つながりを活かし、アーティストから提供された価値ある貴重な未発表のエクスクルーシブ曲が溢れていること。
国境を軽やかに飛び越えるような選曲の妙。
ラテン、アフロ、ジャズ、ダブ、ディスコ──それぞれの文化が持つリズムと色彩を違和感なくミックスしながら、心地よいグルーヴを丁寧に紡いでいくQuanticならではの美学と芸術的センスが詰まっている。
「世界を旅するQuanticの音楽漂流記」として高く評価されているのが実感できる選曲とミックス。
食品まつりa.k.a foodman / Early Hours
アーティスト名に一癖あるが、その実力は世界的に高く評価されている名古屋拠点のエレクトロニック・ミュージック・プロデューサーに食品祭りa.k.a foodmanよるDJ MIX。
ジャンルや国境を軽やかに越えオリエンタルでエキゾチックな感覚を呼び起こす選曲が光る。
ビートメイカーFISHDOLL(北京)、サックス奏者KIM OKI(韓国)、中東の香り漂うDJ PLEADなど,
各地の先鋭的なアーティストが並び聴く者をアジア~中東の音の旅へと誘う。
さらに、日本のソフトロックバンド「森は生きている」の名曲「日々の泡沫」もさりげなく忍ばせ、ジャンルを横断しながらも自然な流れで包み込んでいく構成力も見事。
締めくくりは、1974年発表の荒井由実(ユーミン)のデビュー作から「生まれたままで」。
時代もジャンルも飛び越えていくこの構成が、ミックスというよりまるでひとつのストーリーを感じさせる選曲になっている。
KYOTO JAZZ MASSIVE / KJM Crossover Mix
90年代初頭のクラブジャズ黎明期からシーンの最前線を走り続ける、沖野修也&沖野好洋による兄弟DJユニット、KYOTO JAZZ MASSIVE。
その二人によるDJ MIXとあればまず間違いない選曲とグルーヴに期待が高まる。
クラブジャズを主軸に、クロスオーバーなグルーヴを丁寧に紡いでいくスタイルはまさに二人ならでは。
ハイライトは自身のユニットの代表曲「Get Up」のミックス。
完璧な選曲の中で配置されることで、この曲の持つ高揚感とグルーヴが最大限に引き出されフロアでプレイされれば自然とハンズアップ必至。
クラブジャズをここまでしっかり前面に押し出したMIX作品は実は意外と少なく、ファンにとっては貴重なミックス。
MR.SCRUFF / Dj-Kicks
2002年にNINJA TUNEからリリースされた
ジャジーブレイクビーツエレクトロの名盤「Trouser Jazz」でお馴染みのMR.SCRUFF
によるDJ-Kicksシリーズ25周年を記念してリリースされたDJ MIX。
心地よいレアグルーヴからトライバルなアフロビートにヒップホップやディスコ、
エレクトロにテクノまでジャンル、年代の垣根を飛び越え何が出るかお楽しみといった選曲。
まさにアニバーサリーにふさわしい大ベテランの妙味が詰まっています。
L-LIKE / SEOLLAl 2024
韓国の人気プロデューサー兼DJのL-LIKEによるDJ MIX。
出演することがトップDJの証とも言えるUK発の「Boiler Room」で
ジャンルにとらわれないファンキーなビートでフロアを熱狂させてましたが
本作はソウル〜レアグルーヴ〜ジャズといった
スムーシーな選曲が心地よいグルーヴを演出しています。
中盤のカシオペアからの石川晶への和物ジャズ選曲がセンス抜群。
JEFF MILLS / Beats In Space 062
DJ MIX CDの大名盤「MIX-UP」で魅せたハードミニマルテクノの面影を全く感じさせない異色な選曲の本作。
なんとオープニングがクラシック!!
テクノクラシックではなくオーケストラのクラシック。
しばらくビートレスな展開が続いたかと思いきや予想外のマンハッタン・トランスファーをミックス!
80年代イタロ・ディスコユニットKANO、USA産ニューウェイヴバンドThe B-52’s、
そしてラストはジャズ界の巨匠SUN RAでフィナーレ。
クラシックから始まり、アンビエント、テクノ、エレクトロ、ニューウェイブ、ディスコを経由してラストはジャズ。
奇想天外な選曲です。
いかがでしたでしょうか。
以上のDJ MIXが月額1,080円で聴き放題というから驚きです。
さらにDJ MIXアプリ「djay」がApple Musicのストリーミングに対応したことで
1億曲から選曲することが可能になりました!!!
お値段もそこまで高くないこの「DDJ-FLX4」とのコンビで完全無双↓↓↓