1985年より音楽活動を始め、現在でも現役でフロアを熱狂させ続けているハウス界のレジェンドDJ EMMAが1996年にリリースしたMIX CD第2弾!
1995年にリリースされたハウス・DJ MIXの金字塔「EMMA HOUSE」から約1年後、その第2弾となる「EMMA HOUSE 2」が登場。
20代前半とは思えない完成度の高いテクニックと選曲センスで、すでにこの頃からEMMAにはレジェンドの風格が漂っていた。
「EMMA HOUSE 2」は、前作と同じく中古市場でプレミア化しており、現在でも3,000円前後で取引されている。
筆者も2010年ごろに手に入れたが90年代の空気感をまといつつ、選曲の組み立てが見事で何度聴いても唸らされる内容。
特筆すべきは前作に続いて今作も24bit録音というDJ MIX CDでは破格のこだわり音質。
現在みたいにテクノロジーが発達していないのでごまかし効かないDJ MIX、すなわち緊張感漂うつなぎも聴きどころの一つ。
リリースからおよそ27年経った今でも、色褪せることのない「EMMA HOUSE 2」を改めて紹介。
▪️EMMA HOUSE 2

1 CEVIN FISHER / The Way We Used To
2 BLACK MAGIC / Freedom(Bottom Doller Pumped Up Vocal Mix)
3 BODYHEAT / Disco Association
4 ACID COWBOYS / Wimmin
5 DJ SHORTY & TODD EDWARDS present UNDERGROUND PEOPLE / Disappear
6 KENLOU Ⅲ / A Sensation
7 BEEZWAX Featuring TYRAH / Can This Be Real
8 PLANET OF DRUMS / Planet Of Drums 04
9 INNER CITY / Your Love(Serial Diva Paris Is Burning Club Mix)
10 SANTOS / The Piano
11 PLEASANT CHEMISTRY / Pasa?
12 DOGTRAX / People In My House
13 ANDRONICUS / Make You Whole
14 MONE / Movin’(Jazz-N-Groove“Original Flavor”Mix)
15 HUSTLERS CONVENTION / Meltdown 95
16 THOSE GUYS / Love,Love,Love
17 DJAMIN Featuring ROSE / Hindu Lover
オープニングは、EMMA氏らしいセンスが光るアカペラ使いでスタート。
90年代にヒット曲連発していたCEVIN FISHERの燻銀なハードハウス「The Way Used To」の語り口調のアカペラを約1分にわたってじっくりと空気をつくりだす。
そこから、LIL LOUISプロデュースのヴォーカルハウスBLACK MAGIC「Freedom」へ、スムーズにつなぐロングミックス。
自然な流れの中で高揚感が立ち上がり、序盤からEMMA氏の手腕が際立っている。
トライバルハードハウスVerもおすすめ↓
THE NITE LITERS「K-Jee」をネタにしたファンキーなディスコチューン、BODY HEAT「Disco Association」から、ACID COWBOYSのハーモニカが印象的なダブハウス「Wimmin」を超ロングミックスでつないでいく。
まったくタイプの違う2曲が重なり合っているのにまるでと違和感がない。
ジャンルやテンションを超えて自然に溶け合うこの展開もEMMA氏のセンスと技術が光るポイント。
MASTER AT WORKの別名義、KENLOUによるキラー・アンセム。
ラテン系パーカッションが畳みかけるように鳴り響き、そこにINDIAの力強いヴォーカルとスペーシーなシンセが絡み合うアッパーチューン。
テンションを一気に引き上げる圧巻のグルーヴでフロアを確実にロックする一曲。
ひと盛り上がりした流れを受けて、次のピークを予感させるトライバルハウスPLANET OF DRUMSへ。
リズムのうねりがじわじわと熱を帯び、そこからINNER CITY「Your Love」へと高揚感たっぷりにロングミックス。
展開の巧さと選曲の妙が見事にハマり、思わずイヤホン越しにハンズアップしたくなるような仕上がりで鳥肌モノの瞬間。
タイトル通り、ストレートで混じり気なしのピアノハウスSANTOS「The Piano」から、アップリフティングなキーボードループとアシッドベースが突き抜けるPleasant Chemistry「Pasa」へ。
高揚しすぎず、絶妙なテンションをキープしたまま展開していく流れが心地いい。
さらに続くのは、92年とは思えないほど先鋭的なサウンドのスペーシーなテックハウス、ANDRONICUS「Make You Whole」。
時代を超えて響くこのトラックも、このミックスの中でしっかりと存在感を放っている。
タイトル通り混じり気なしのピアノハウスSANTOS「The Piano」にアップリフティングなキーボードループとアシッドベースが突き抜けるPleasant Chemistry「Pasa」と程よいテンションをキープさせていきます。
92年の作品とは思えないスペーシーなテックハウスANDRONICUS「Make You Whole」
9曲目のINNER CITYあたりから「そろそろ来るか?」と思わせつつ、なかなか突き抜けない・・・そんなじれったさもEMMA氏ならではの演出。
程よく焦らされたあとに、満を持して投入されるのがMONE「Movin’」。
突き抜けるような開放感と、歌モノならではのエモさが一気に押し寄せる展開で絶頂。
リミックスを手がけるのは、美メロハウスに定評のあるJAZZ-N-GROOVE。
EMMAの30年を総括する「EMMA HOUSE XX〜30th Anniversary」にも収録された、HUSTLERS CONVENTION「Meltdown’95」。
朝方のフロアにぴったりな多幸感あふれるメロディーに包まれたハウスクラシック。
続くのは、「EMMA HOUSE 10」にも収録された、TEDDY DOUGLASとDJ SPENによるユニットTHOSE GUYSの「Love Love Love」。
JEAN-LUC PONTYのヴァイオリンをフィーチャーし、メロウでエモーショナルに仕上げた一曲。
ラストを飾るのは、エキゾチックなシタールとアップリフティングなヴォーカルが絡み合う朝方系アンセム「Hindu Lover」。
余韻を残しながらもしっかりと高揚感を届けてくれるフィナーレにふさわしい一曲。
全17曲、75分。
90年代のGOLD世代にはグッとくる選曲とグルーヴ感で当時の空気をそのままパッケージしたような内容。
ハウスクラシック満載ながらまったく古びた印象がないのは、やはりEMMA氏のセンスとミックス力のなせる業。
中古市場ではプレミア化しているものの、今ならそこまで高騰していないので、気になる人はぜひ手に入れてみてほしい。
これぞEMMA HOUSEの原点のデビュー作↓