ラテンハウスというジャンルを日本において確固たるムーブメントへと昇華させたDJ EMMAによる情熱的かつ濃密なラテンハウス・オンリーのDJ MIX作品。

2000年にリリースされた本作は、DJ EMMAの代名詞ともいえるラテンハウスを軸に選曲された「EMMA HOUSE」シリーズのスピンオフ的作品。
当時、ラテンハウスでフロアを熱狂の渦に巻き込むという点においてDJ EMMAの右に出る存在はいないとまで言われていて、本作における選曲はまさにその評価を裏付ける神懸かったセンスが随所に光る。
オープニングを飾るのはEMMA氏のユニットMalawi Rocksによる「Spanish Hustle」。
演奏には東京スカパラダイスオーケストラを迎え、原曲のラテンファンクをミラーボール映えする壮大で華やかなクラブ仕様にアレンジされていて、現在でもここ一番の場面で選曲されることの多い不朽のキラーチューン。
現在ではThe Chemical Brothersと並び称される存在となったBasement Jaxxが「Fly Life」の大ヒットで勢いを増していた時期に発表したラテンハウスの名曲「Rendez-Vu」。
情熱的なギターと躍動感あふれるパーカッシブなハウスビートを巧みに融合させ、彼らのキャリア初期を象徴する一曲に仕上がっている。
UKアシッドジャズ・シーンで活躍するSnowboyの代表曲「Casa Forte」を、スピリチュアル・ハウスの名手Joe Claussellが、躍動感あふれるラテン・ジャズ・ハウスへと昇華させた彼の中でもベストワークと評されている一曲。
序盤からまるでクライマックスのような高揚感をフロアにもたらす選曲が続いていく。
クライマックスを予感させるこれまでの展開に、福富幸宏による洒落たラテン・ジャズ・ハウス「Complete Communion」が軽やかな変化をもたらす。
福富幸宏によってがらりと展開が変わったかと思わせた直後、クライマックス級の大ネタ「Ride On time」をここで登場。
この曲は、Black Boxの1989年に放った世界的大ヒット曲をLoretta Hollowayを正式にフィーチャーして再構築した2000年バージョン。
「Love Sensation」のヴォーカルが炸裂する瞬間、フロアが熱狂の渦に包まれ、まさに禁じ手に近い破壊力を持つキラーチューン。
↓アルバムVerがないため雰囲気が近いものをピックアップ
ピークを迎えた後の選曲では、EMMA氏の真骨頂ともいえるラテン・トライバル・ハウスで畳みかける。
当時、この2枚使いを真似たDJは少なくなかったに違いない。
フロアの温度を一気に3度引き上げる乱れ打つラテンパーカッションが印象的な「Batucada」のPete HellerヴァージョンとDJ Deroヴァージョンによる豪快な応酬で熱狂の連鎖を生み出す。
Manuel Göttschingによるアンビエントの傑作『E2-E4』を大胆にリメイクしたチルハウスの名曲Sueño Latino「Sueno latimo」でラテン・トライバル・ハウスの応酬で巻き起こった熱狂を心地よくクールダウン。
終盤に選曲することでドラマティックな展開を演出するJephte Guillaume「Rhythm of the Rain」。
アコースティック・ギターの爽快な刻みと、情感豊かなフルートの旋律が絡み合い、さらに雷や雨の自然音を取り入れた感動的なアレンジが深い情緒をもたらすドラマティック・チューン。
スピリチュアルな展開でフロアを包んだ後、キャッチーなメロディーとダンサブルなピアノハウスが印象的な「WWW.Com」で展開を一変。
フロアに華やかな高揚感をもたらし、終盤のピークへの橋渡しにふさわしい一曲。
そして、アルバムの締めくくりにふさわしい一曲として登場するのが、ジョージ・デュークの名曲を都会的なグルーヴにアレンジしたShakatak「Brazilian Love Affair」。
前曲からのカットインが極めて巧妙で、これを実際にフロアで体感したなら、一発で魅了されてしまうことは間違いない。
個人的には、このミックスアルバムにおける最大の聴きどころとして強く推したいミックス。
本作のラストを飾るのは、Jerome SydenhamとKerri Chandlerが手掛け、Vera Maraがフィーチャーされた「Saudação Aos Orixás」。
この曲は、ヨルバ信仰の神々であるオリシャ(Orixás)への賛歌として知られ、Vera Maraのヴォーカルがスピリチュアルな世界観を鮮やかに表現している。
壮大なバックグラウンドとともに、アルバムのフィナーレにふさわしい圧倒的な存在感を放つトラック。
全15曲、ラテンハウスの多彩な魅力を余すところなく詰め込んだ一枚。
ラテンハウスオンリーというコンセプトは他に類を見ず、このジャンルのファンにとっては貴重な1枚。
自宅のヘッドフォンでも常夏ビーチを連想させる、鮮やかで躍動感あふれるラテンハウスのグルーヴを自宅のヘッドフォンで体感してみてはいかがだろうか。