今回、紹介するのはTECHNASIAのCHARLES SIEGLINGが2001年に手がけたライブDJミックスCD『PLUS Vol.1』は、大手レコード店でテクノバイヤーしていた時期に激プッシュしていた作品。
スタジオで編集・録音された一般的なMIX CDとは異なり、本作はライブでの一発録りというスタイルが採用されており、その場の空気感や躍動感がダイレクトに伝わってくる。
まるでフロアの熱気まで封じ込めたかのような生々しさが伝わり、当時はその圧倒的なグルーヴ感と卓越したDJテクニックに衝撃を受け、ほぼ毎日のように聴き込みながら自身のプレイの参考にしていたほど。
個人的にも思い入れの深いDJ MIXであり、2000年代初頭のテクノ・ミニマルシーンを体感できる貴重な一枚。
それでは、その内容を改めて振り返ってみたいと思う。


冒頭を飾るのは、シカゴ・ハウスの名門レーベルDance ManiaからMan Factory「If U See Em」。
展開が少なくスカスカな音像が特徴のため単体では扱いが難しいが、そこに巧みなスクラッチやイコライジングを織り交ぜ、見事にフロア仕様へと昇華させている。
続く2曲目はJOHN THOMASのゆるめのミニマルテクノ「Discolypos」だが、1曲目から3曲目DJ ZANK「Coolians」までレコード3枚使いを駆使し、単調なミニマルではなく力強いハードグルーヴへと転化。
冒頭からこれだけのテクニックを魅せてくるので、続く展開への期待感を否応なく高めてくれる。
息つく暇もないまま一気に加速し、Adam Beyer「This Is Code Red(Ben Sims Hardgroove Edit)から、TRAXMEN「F……N’ Suckin」のロングミックスで最高潮手前のテンションをキープ。
そしてジェフ・ミルズの「Alarms」、さらにUMEK「Mechanisms E」へと繋がる怒涛の流れで前半のピークを迎える。
テンションの高まりが一気に爆発する、このあたりの展開は何度聴いても痺れる。
DJユースなアップリフティングなビートがグイグイ迫るCharles Siegling「Star 20」からTecnasiaのフロアキラーアンセム「Future Mix」ロングミックスで期待感を煽る!
Future Mixのお馴染みのヴォイスサンプルとシンセが出てきた瞬間の爆発力がたまらない。
ハードミニマルで畳み掛けるように攻め立てたところで、PHUTURE 303の「Riden」が投入され、硬質なアシッドテクノのスパイスが絶妙に効いてくる。
流れを壊すことなく、むしろグルーヴに鋭さを加えるこのセンスはさすが。
Robert Armani「Glind」も原曲のままだとスカスカだが、Jens Mahistedt「Schwupp(Starac Remix)」とロングミックスすることでハードなグルーヴに様変わり。
DJの選曲と手腕が光るミックス。
短距離走をベストタイムで駆け抜けるような疾走感を放つCHARLES SIEGLING「Star 05」から、田中フミヤ氏の『MIX-UP Vol.4』にも収録されていた強力キラーアンセムWax Master Maurice「Stop Screamin’」への流れは、個人的にこのMIXのハイライト。
突き抜けるようなスピード感と重厚なグルーヴが完璧に噛み合い、一気にテンションが振り切れる瞬間。
終盤に差し掛かったところで、ガツンと目が覚めるような一撃を放つのがOLIVER KAPP「Small Circle」。
容赦ないハードテクノの圧力が、クライマックスへと一気に引き上げてくれる、まさにラストスパートに相応しい強烈な一曲。
この流れで続けざまに登場するのが、田中フミヤ氏によるハードミニマルテクノの傑作「Phase」。
無骨なキックに、まるでプロペラが高速回転するような鋭利なリズム音が重なり、無駄を一切排した硬派な音像がひたすらに突き進む。
ミニマルながらも冷徹なグルーヴの中に宿る圧倒的な推進力は、当時の田中フミヤ氏の真骨頂。
詳細が謎に包まれているStatic Drumの代表作「Insector」。
タイトル通り昆虫的なノイズや金属音が絡み合うアブストラクトなミニマルテクノとして、フロアに緊張感を与えたい場面や、もうひと段階テンションを上げたいときに最適な曲でまさかのフィニッシュ。
選曲を見ても、2001年当時としては新旧のハードミニマルを絶妙に織り交ぜた流れで、CHARLES SIEGLINGのセンスや個性が存分に発揮された内容。
単なる寄せ集めのMIXではなく、テクノの硬派な側面を貫きつつも緩急とグルーヴの波を丁寧に設計した完成度の高さが際立っている。
そして本作は、当時シーンを牽引していた伝説的レコードショップ「CISCO」が日本での流通を扱っていたこともあり、現場で鍛え上げられたDJによるリアルな選曲を堪能することができる。
ラストも潔いほどに「まだ続きがあるのでは」と思わせる余韻を残しつつフェードアウトしていくのが粋で、ライブ感のあるミックスならではの終わり方が印象的。
もし中古ショップやオンラインで見かけたら、今でも間違いなく色褪せない一枚なのでぜひ手に取って体感してほしい。