京都に移住してから、よく晴れた日の休日は無目的に散策に出かけることが多くなった。
だいたいコースは決まっていて、北大路橋すぐそばにあるグリルはせがわで弁当を購入し、鴨川でとんびに狙われない場所で弁当を食べてから本読んで昼寝したあと、出町柳あたりまで鴨川沿いを散歩するのが定番
今日は特に天気が良かったので鴨川デルタから地上にあがり、出町ふたばの大行列を横目で見ながら京都御苑のあたりまで歩く。
京都御苑といえば江戸幕府と長州藩との激戦(禁門の変)が繰り広げられた場所。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を愛読書としている自分には感慨深い場所ではあるが、令和の今では老人と幼児と外国人の憩いの場として賑わっている。
京都に移住して15年以上経つが、京都御苑をじっくり見たことが今までなかったことに気づく。
家族や友人と「休みの日に京都御苑でも行く」みたいな会話もしたことないし、「次の休日は京都御苑でも行こうか」ということもなかった。
京都市民にとって京都御苑は大きめな公園のようなもので、何かのついでに寄るものという存在なのかもしれない。
時計をみればまだ12時をちょっと過ぎたぐらいで、天気も良いので京都御苑を無目的に散策してみた。
京都御苑は京都市のほぼ中心にあり、南北1.3km、東西700mにも及ぶ広大な敷地には東京遷都まで宮家や公家の邸宅が建ち並んでいた場所。
自分はジョギングで通過することはあるのだが、ぐるりと一周したことは今までない。
今回の散策は京都御苑の南、丸太町通り沿いの堺町御門からスタート。
最初の立ち寄りポイントが堺町御門入ってすぐにある九条池の中島に鎮座する厳島神社。
続いて現在の皇室へと繋がる四親王家「閑院宮家」の宮廷跡庭園。
ここまでのんびり散策して30分程度。
京都御所に近づくにつれ、人が増えてきて賑わいが増してきた。
京都御苑には飲食やお土産が買える売店が2箇所あり、中立売休憩所はなんとなく観光客向けな品揃え。
あと近衛邸跡休憩所に京都和菓子の名店「笹屋伊織」のカフェができていたのに少し驚いた。
現時点で50分くらいが経過。
いよいよ京都御苑の中心京都御所へ到着。
京都御所は江戸時代まで天皇のお住まいになった皇居で1000年以上の歴史を有する建築様式・障壁画や調度・庭園を中心とする宮廷 文化の今に伝える貴重な存在。
数年前は春・秋の限定公開だったのが通年公開になり、外国人観光客の人気スポットとなったわけだが、自分はおそらく15年ぶりくらいの訪問。
記憶の中ではとにかく広いという記憶が鮮明に残っていたが今回もその印象は変わらない。
入り口からしばらく裏道を歩いているような感じで特に見所はなかったのだが、京都御所の中央にあり、最も格式の高い宮殿の紫宸殿は自分がイメージする皇居であって感動を覚えた。
紫宸殿の東側には見応え抜群の池泉回遊式の庭園が広がっていて、京都御所でもトップを争う映えスポット。
京都御所は外国人観光客に紛れて流れ作業的な参観ではあったが、無料でこれだけ広大な敷地をゆっくり観れるのはなかなかお値打ちものだ。
京都御所の南東には、後水尾上皇の御所として造営された宮殿 京都仙洞御所と上皇の后の御所 大宮御所があり、こちらは事前申込制で参観可能。
空きがあれば当日申込みも可能だが、春・秋はほぼ予約でいっぱいのようだ。
残念ながら今回は予約していなかったため参観はできなかったが、庭園として最高傑作と名高い修学院離宮を造営した後水尾上皇の御所なのでさぞかしスケールのでかい庭園なのだろう。ここは観光シーズンを外してまた訪れたい。
スタート地点の堺町御門すうとなりにある富小路口に富小路広場がありゲートボール場とテニスコートがありアクティブなご老人たちで賑わっていた。
ちょっと寄り道となるが、京都御苑の東側に隣接する梨木神社にはぜひとも立ち寄りたい。
境内には京都三名水のひとつ「染井」があり、お水汲みすることができる。自分もジョギングの際には水筒を持参して御神水をいただいている。
あと、その染井の水で入れたコーヒーが味わえる「coffee base nashinoki」が境内にオープンし人気スポットとなっている。
ふらっと立ち寄ってからだいたい2時間30分くらいが経過。
のんびりしたペースではあったが想像以上に時間がかかった。
京都御苑内の施設の参観はすべて無料なので今回の訪問では梨木神社で染井の水を汲むのに100円しか使っていない。
今回の散策で感じたのは、散歩ついでにふらっと京都御苑に立ち寄れる場所に住んでいるっことにささやかな幸せを感じた。
天気のいい日はまたふらっと立ち寄ろうと思う。