1985年から音楽活動をスタートし、今も現役でフロアを盛り上げるハウス界のレジェンドDJ EMMAが1995年にリリースしたファーストMIX CD。
MIX CDは流行りものというイメージで中古市場では安値になることが多いが、この作品は安くても3,000円以上する稀有な存在。
EMMA HOUSE〜SPIRITUAL+EMOTIONAL

1 Malawi Rocks / Music is My Flower
2 Anita K. / Reach Me
3 Blan N’ Spanish / Kik Da Bucket
4 Wamdue Kids / So Good
5 Grant Nelson / Dance M.F
6 Yosh / It’s What’s Upfront That Count
7 Love Inc / R.E.S.P.E.C.T.
8 Sugar / The Feeling
9 Sphynx / What Hope Have!
10 Morel Inc. / Morel’s Sax Groove
11 The Mothballs / Instinct Of Self Preservation
12 Sticky People / Kong
13 Lois Lane / Set Me Free
14 Love To Infinity / Keep Love Together
15 Secret Life / Love So Strong
95年リリースだけあって全編に渡ってハウス黄金期の空気をまとったハウスクラシックが満載。
シリーズ第1作目はEMMA自身氏のユニットMalawi Rocksがオープニングを飾る。
続くのは美しいヴォーカルが印象的なAnita Kの歌ものハウス「Reach Me」。
叙情的でメロディアス、それでいてフロアの熱をじわりと上げていくグルーヴ感はまさにEMMA HOUSEの真骨頂。
のちにAnanda Projectとしても知られるChris BrannがWamdue Kids名義でリリースした「So Good」。
アップリフティングなピアノリフが印象的なこの曲あたりから徐々にフロアの温度を上げていくような展開。
ソウルフルで軽やかなグルーヴが序盤の流れに心地よくテンションを加え、ここから本格的にEMMA HOUSEの物語が動き出す。
そしてUKガラージ〜ダンスシーンを牽引したGrant Nelsonによる陽気なディスコハウス「Dance M.F」をミックス。
軽快なメロディーを響かせるキーボードとファンキーで弾むようなベースライン。
ソウルとディスコのエッセンスを感じさせながらしっかりとハウスの芯をキープしたこの一曲で流れは一気に加速。
ブリブリ唸るチョッパーベースがクセになるYOSH「It’s What’s Upfront That Count」。
ディスコ〜ファンクの血を感じさせる低音がグルーヴを強烈に引っ張り、今かけても確実にフロアを沸かせる即戦力な一曲。
今でもEMMA氏がフロアでヘヴィプレイしている定番中の定番Love Inc.「R.E.S.P.E.C.T」。
疾走感あるビートに美しく浮遊するシンセとメロディアスな展開が絶妙に絡み何年経っても色褪せない名曲。
クラシックでありながら、今のフロアにもぴったりハマる完成度の高さはさすが。
サブリナ・ジョンストンのソウルフルな歌声が炸裂するSphinx 「What Hope Have!」。
圧のあるビートとエモーショナルなヴォーカルが絡み合いドラマチックに展開する名曲。
当時NYの伝説的クラブSound Factoryでフロアアンセムとして鳴らされていたというのも納得の強烈な存在感。
EMMA HOUSEの流れの中でもしっかりピークを作ってくれる一発。
クラブの熱気を閉じ込めたような永遠のハウス・クラシック。
歌ものアンセムでフロアをしっかり熱くした直後にジャジーなハウスで空気をガラッと変えるブレイクの妙。
Morel Inc「Morel’s Sax Groove」のムーディーなサックスとスムースなリズムが心地よく踊らせながらも一息つかせる絶妙なタイミングにそこに被せてくるのがSticky People 「Kong」。
トライバルなパーカッションが突如として押し寄せ、温まった空気を再び焚きつけていく。
グルーヴをキープしながら次の展開への期待感まで引き出す選曲とミックスがほんと秀逸。
高揚感たっぷりのピアノループに駆け抜けるようなキーボードソロが絡み合い、トライバルなリズムで一気にテンションを引き上げるイタロハウス・クラシックLOIS LANE「Set Me Free」。
ピークへの布石としてしっかり機能する鉄板のクラシックチューン。
そしてラストを飾るのはSecret Life「Love So Strong」。
Kenny Bobien級のエモーショナルなヴォーカルが胸を打つまさに泣きのハウスアンセム。
ビートに身を委ねながらサビで一気に感情が解放されるあの瞬間、みんなが両手を高く掲げフロアが一体感になる最高の締めくくり。
30年前の選曲とは思えないほど、今のEMMA氏のスタイルと1ミリのブレがなく、ラテン、ピアノ、歌モノ、トライバル、どれをとってもブレのない選曲センスが光る。
大人気シリーズの始まりにふさわしい濃密な1枚で、中古で見つけたら即ゲット推奨。
これは単なるMIX CDじゃなくハウスの歴史的価値ある資料でもある。
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