京都に移住してわかったちょっとしたこと

埼玉から京都に移住してもうすぐ16年が経とうとしている。

今では標準語を喋る方が難しいくらい関西弁に馴染んでしまっているが、関西人からしたら自分の関西弁はエセ関西弁らしくどっちつかずの状態である。

京都に移住する前は日本が世界に誇る観光地で外国人が多く、豆腐が美味くて京都人はイケズぐらいの情報しかなかったが、実際に移住してみると移住者だからこそ気づく京都ならではのちょっとした発見があったのでまとめてみた。


京都人は京都の観光地に関心がない

自分の中での京都人の定義は京都市民で上京区、中京区、下京区、東山区、嵐山区などのTHE KYOTOな地域に3世代以上住んでいる人を指す。

そんな京都人との会話でよく「銀閣寺ってどこにあるん?」「金閣寺は行ったことがない」「時代祭ってなんでしたっけ」など耳を疑うようなことを平気で言う。

世界遺産にも登録されている金閣寺も京都人からすればわざわざ拝観料払ってまで行くところではないらしい。

京都の観光地には関心がないが、京都には誇り愛着を感じることがしばしばある。

地域の風習や行事には家族で参加したり、高校、大学、就職先まで京都市内だったりと京都から外に出たいという気持ちはなさそうだ。

もし、京都在住者で京都の歴史や観光地にやたら詳しく、休日に寺社仏閣巡りをしていたらほぼ移住者だと断言して間違いない(だろう)。


京都人はニシンそばを食べない

年の瀬に職場の京都人に「年越しそばはやっぱりニシンそばですか?」と尋ねたら「そもそもニシンそば食べたことないな〜」とまさかのレスポンス。

そういう自分も京都に移住してからはニシンそばを食べていない。

京都に移住する前は、南座のすぐ横にある「総本家にしんそば松葉」に何回か行っていたが、移住してからは一度も訪れていない。。

京都人の思いを代弁するなら「いつでも食べに行けるんやし、わざわざ今行かんでもええんちゃいますか」

まさにこれ。


寺社仏閣を1日本気で巡ると軽く1万円は超える

京都に移住したての頃は、「京都市営地下鉄・市バス一日乗車券」を使って、朝7時ごろから夜8時くらいまで寺社仏閣を巡っていた。

京都の寺社仏閣は基本的に拝観料が必要で、さらに国宝などが保管されているような秘宝館には別途入館料が必要。

さらには、1枚三百円〜する御朱印も3パターン以上用意されているところもある。

そしてお守りやお札などの授与品を含めると、1カ所で3,000円以上使うことが多い。

最近では、コラボ授与品やご当地グルメなど、インバウンド向けのマーケティングのおかげで、さらにお金を使ってしまうことがある。

下手をすると、USJに行けたのではないかと思うくらい散財してしまうこともある。

なので最近はお金を使わなくても散歩するだけでありがたい気分になれる上賀茂神社下鴨神社によく行くようになった。


金閣寺の雪化粧はレア

「京都の冬は雪が多く、底冷えが辛いというイメージがあったが、京都市内では1年に数回、やや積もる程度の雪が降るくらいなので、金閣寺の雪化粧はとてもレアなものだ。

京都の気候でよく言われるのが、京都タワーの天辺と北大路通りの高さがほぼ一緒だということ。そのため、北大路通りより北は寒いと言われているが、その通りで、京阪電車で叡電出町柳駅に乗り換えるときは、いつも「寒いな」と感じる。

また、京都市内でも北大路通りより北では雪が降っていて、東寺のある南では降っていないことがよくある。

年に数回あるかないかの修学院離宮の雪景色。

鴨川にいる鴨には反応しない

名前の通り、鴨川には鴨が多い。

出町柳にある鴨川と高野川が合流する出町デルタより北にあるの北大路大橋と北山橋の間の土手には、見たことのないような種類の鴨がかなりの数生息しているが、散歩やジョギングしている人たちはほぼスルーしている。

最初は自分もこれだけの野生の鴨を見た時は興奮したものだが、今では「今日は多いな」と思うくらいで、特に気に留めなくなった。

鴨だけでなく、白鷺や鵜、ウミネコも見かけるが、公園の鳩を見るような目線で眺めている自分がいる。

このぐらいの野生の鴨は日常茶飯事。冬になるとウミネコも加わり賑やかになる。

琵琶湖が近い

関西人以外にはあまり知られていないが、京都駅から滋賀県大津駅まで電車でたった9分で行けてしまう。

日本最大の湖であるびわ湖には約40分ほどで行くことができ、嵐山へ行くよりも早く着く

京都市民がびわ湖に行く理由の一つは、夏の湖水浴

海水ではないので体がベタベタせず、近江舞子より北の水は透き通っていてとてもきれいだ。

京都駅から電車で30分で行ける近江舞子水泳場。土日でなければ空いていてゆったりできる。近くに海の家ならぬ湖の家があり便利。

これだけ近いので、びわ湖には年に3回くらいは行くし、びわ湖の船着場まで直通の京阪浜大津線は鉄道ファンも唸らせる日本第3位の勾配と急カーブの連続が楽しめる。

京都市民はあまり意識していないことが多いが、実は滋賀県には見どころが多い。


京都人はイケズをしない

京都に移住する際、一番ビビっていたのが京都人のイケズ

帰って欲しい客人にはぶぶ漬け(茶漬け)を勧められたり、「お宅の坊ちゃん、元気があってええわぁ〜」は実はうるさいという意味だったり、渡したお土産をものすごく喜んでくれたものの、1ヶ月以上未開封だったりと、本音と建前のギャップが激しく、関東人は受け入れられないのではないかと思っていた。

しかし、幸いにも気づいていないだけかもしれないが、京都人からイケズにあったことはない。

最初の頃は言葉の裏を読みすぎてチグハグなコミュニケーションをしていたが、本音を湾曲的に表現するだけで実害はなく、今では自分もそんな感じだ。

「○○さんがよう言うてはりましたわ〜」は本当によく聞く言葉だ。


京都のスーパーはほぼフレスコ

フレスコは京都を中心に展開している24時間営業のスーパーマーケット。

コンビニよりも安く、他のスーパーからは「京都人の冷蔵庫」とも言われている。

京都市内を車で走っていると、いろいろな場所でフレスコを見かけるし、ちょっと広めのテナントが廃業すると、大抵その跡地にフレスコがオープンする

レアなケースではあるが、河原町丸太町店は国と京都市の登録有形文化財である「旧京都中央電話局上分局」の跡地にあり、大正時代の面影がかすかに残っている。

深夜の街中で煌々と光っているのを見かけたら、コンビニかフレスコで違いない.


大阪までの電車が快適

京都から大阪まで電車で行くには、京阪電車、阪急電車、JRの3つの選択肢がある。

その中で、京阪電車と阪急電車は京都始発なので、朝の通勤ラッシュ時を避ければ、ほぼ確実に座ることができ、ボックスシートなので窓際なら個人空間を確保できる。

さらに、500円を払えば、ワンランク上の「プレミアムシート」を予約できるので、どうしても座りたい場合にはこの選択肢もある。

一方、JRの場合は座ることは難しいが、最速で30分で大阪に到着する。

大阪からの帰りも、京阪電車や阪急電車であれば始発駅から出発するため、ほぼ座ることができる。

京阪電車の快速特急には有料席かと思わせるくらい快適なボックスシート。有料席はさらにその上をいくラグジュアリー空間。

京都人に京都知識を披露したら引かれる

京都で再就職の面接の時、前職を辞めた理由を聞かれ、「京都に永住したいため」と答えたら、「意味がわからへん」とぼそっと吐き捨てられたことがある。

それ以外でも同じような回答をすると、「京都ってなんもないやん」と本音か建前か分からないことを言われ、まるで移住が歓迎されていないと感じたこともあった。

京都愛に溢れる自分は京都検定2級を所持しており、今年は1級の取得を目指して勉強しているが、このことは誰にも言っていない。

8年ぶりに内容が更新された公式ガイドブックと問題集。2024年の1級の合格率はなんと2.7%!!

京都に移住した頃、休日ごとに寺社仏閣巡りをしていたので、京都の話題になると、聞かれてもいないのに蘊蓄をべらべらしゃべっていた

それが、冷ややかな目で完全にスルーされた記憶がトラウマとなり、今では自分以外で同じような失敗をしている人を見ると、「あかん、喋りすぎや」と心の中で忠告している。

金閣寺や銀閣寺に行ったことがない京都市民に対して京都蘊蓄を語るのは御法度で、聞かれたことだけを答えるのがスマートな京都通である。


ほかにもいろいろあるが今回はここまでとする。

そのうち、京都人としてすっかり染まり、気づかなくなる日が来るかもしれないが、それも3世代先の話だろう。」

ちなみに京都人は近所の桜を観るだけで満足している。
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