埼玉から京都に移住してもう17年が経つ。
京都での暮らしにもすっかり慣れ、関西弁も躊躇なく使えるようになった。
年に1〜2回ほど実家のある埼玉に帰省すると、地元の友人たちと飲みに行くたびに、ほぼ必ず京都での暮らしについて質問される。
「住みやすいの?」「家賃はどう?」といった話から、「京都の人ってどんな感じ?」まで内容はさまざま。
今回は、その中でも特に多く聞かれる質問をピックアップしてみたので、これから京都への移住を考えている人にとって、少しでもリアルな参考になればと思う。
京都での一人暮らしスタート地点

京都で最初に一人暮らしを始めた場所は京都市左京区の一乗寺。
京都の人に会うと、決まって「よう一乗寺をえらばはったねぇ〜」と言われることが多い。
深い意味はよくわからないけれど、確かに他府県から京都に移住する場合、普通は大学や会社の近く、あるいは市内中心部や京都市営地下鉄沿線あたりを選ぶものらしい。
では、どうして当時勤めていた職場からも遠く、市内中心地へのアクセスも決して良くない一乗寺を選んだのか。
その理由とは眼鏡。
26歳の時に急にコンタクトが合わなくなり眼鏡を新調することになった。
せっかくなら「いい眼鏡が欲しい」と思い、くるりの岸田繁、アジカンの後藤正文、サンボマスターの山口隆――当時のかっこいい眼鏡ロックアーティストたちの中でも、特にくるりの岸田さんの眼鏡が格好良く、どうしてもああいう眼鏡が欲しくなった。
その結果、「京都・眼鏡」で検索して見つけたお店が京都市左京区一乗寺にあったので、この土地にご縁ができたというのが理由。

眼鏡業界屈指の名店 「OBJ」 の最寄り駅は叡山電車の 一乗寺駅。
眼鏡を購入するついでに街を歩いてみると、ラーメン屋や定食屋が軒を連ね、さらに世界中の観光客が訪れる本屋 「恵文社」 もある。
さらに、少し足を伸ばせば詩仙堂や狸谷山不動院といった観光スポットも点在。
文化・歴史・グルメが程よく混ざったこの街の雰囲気に惹かれ、「もし京都に移住するなら一乗寺」と心に決めていたため、転勤が決まるや否やすぐに物件探しを始めた。
運よく、一乗寺駅から徒歩1分のワンルームマンションに引っ越すことができた。
その後、2回ほど引っ越しを経験しているがいずれも一乗寺付近に住んでいる。
この街はとにかく若者が多く、初めて京都で暮らす人にとっても、生活や交流の面で好ロケーションだと思う。
さらに一乗寺駅前に「ラーメン二郎」がオープンし、ラーメン好きにとってはまさに夢の国のような環境になっている。
京都移住で実感したメリット
京都に移住してよかったこと――それは、「お金をかけなくても満足度の高い生活が送れる」ということ。
京都に来てから始めた趣味はマラソンと読書。
そして、一番の変化はミニマリストになったこと。
埼玉にいた頃の休日は、都内に出てショッピングやグルメ、エンターテイメントを詰め込み、ヘトヘトになりながら終電ギリギリで帰宅する、いわゆるマキシマリストな生活だったが、京都に移住してから休日の過ごし方が大きく様変わりした。
午前8時にランニング、ゴール地点のスタバでゆっくり読書やPC作業をして、昼食後に30分ほど昼寝をしたあとは、モノの少ない部屋でゆっくり過ごすか、掃除や散歩をするのが定番。
この生活の中で気づいたのは、「ほど良い生活の余白が心地よい」ということ。
こんな日々を送っているので、1日1000円程度でも十分に満足できる生活を実感している。
文化と自然が程よく混ざった空間で、ゆったりとした休日を楽しむのに最適。

文化と自然が程よく混ざった空間で、ゆったりとした休日を楽しむのに最適。
平安神宮を参拝し,府立図書館で本を借りて、近くの蔦屋書店に併設されたスタバのテラスで読書を楽しみ、眠くなったら目の前の公園で昼寝。
こんな過ごし方だけで、朝から夕方までゆったりと時間を満喫できるのが京都の贅沢な日常。
↓他にも京都はメリットがいっぱい

京都の気候、実際どうなの?
移住する前からずっと気になっていたこと――それは「京都の気候は過ごしにくいのではないか」という点だった。
夏は猛烈に暑く、冬は底冷えするというイメージがあったからだ。
実際に住んでみてわかったことは、「夏は耐え難いほど暑いが、冬はなんとかなる」ということ。
京都の夏は、ここ数年で生命の危険すら感じるほどの暑さで盆地特有の湿気がこもりやすく、蒸し風呂のような気候はまさにその通り。
歩くだけで汗がびっしょりになり、夏場は替えの肌着なしではやっていけないほど。
特に暑さのピークは祇園祭の巡行日である7月17日から五山送り火の8月16日まで続く。
一方、冬は思ったほど厳しくない。
関東に住んでいた頃の方が風が強く、体感的にはもっと寒かった印象がある。
京都はほとんど無風で底冷えもヒートテックの機能性が向上したことでなんとか耐えられるレベル。
ただし、少し残念なのは京都市内では雪がほとんど降らないこと。
ポストカードのように金閣寺が雪化粧する光景は、年に数回あるかないかしか見ることができない。
結論、関東出身の友人には、京都の気候についてこう答えている。
「夏は過ごしにくいけど、冬はなんとかなる」

京都移住前に知っておきたい就職事情

自分は28歳で仕事の都合で京都に転勤し、その後東京への転勤が決まったタイミングで退職した。
当時32歳、10年間勤めた会社を辞め、孤立無援の状態で初めての就職活動に挑むことになった。
その頃の就職活動といえば、ハローワークに行くか、ネットの求人サイトを見るくらいで、今のような転職エージェントはまだ一般的ではなかった。
実感として強く感じたのは、東京や大阪に比べて京都の求人は圧倒的に少ないということ。
観光都市である京都はホテルや飲食店、お土産屋、さらに高齢者が多いこともあり、福祉・介護系の求人が中心。
商社や一般企業の求人はハローワークではほとんど見つからない。
しかも、今回の再就職条件に「転勤なし」を加えるとますます選択肢は限られる。
ハローワークで見かける有名老舗の求人も毎週募集している場合は離職率の高さを疑わざるを得ない。
また、京都市の臨時職員募集もよく見かけるが、臨時職員から正規雇用になる例はほとんどない。
短期目的以外での応募は、貴重な時間を浪費するだけだと感じた。
結果として就活には1年かかってしまったが、アルバイト採用から正規雇用に移行でき、ようやく少し安定した生活を送れるようになった。
これから京都に移住を考えている人には、まず仕事を確保してから移住することを強くおすすめしたい。
関東への未練はある?
「関東への未練はある?」とよく聞かれるが、答えはNO。
特別な事情がない限り、埼玉を含め他府県への移住は考えていない。
京都を表現する言葉としてよく使われるのが、「ほどよく都会で、ほどよく田舎」というフレーズ。
京都駅や河原町に出れば欲しいものは大抵手に入り、遊ぶ場所も豊富にある。
一方で、嵐山や鞍馬、大原など自然豊かなエリアにも市内中心部から60分以内でアクセス可能。
このほどよい都会感と田舎感のバランスこそが、京都に住み続けたい大きな理由のひとつ。

こんな環境の街は他府県ではなかなか見つからないと思う。
最初はよそ者としての違和感を抱えていたが、10年以上住んでみると程よい距離感が逆に心地よく感じられ、つかず離れずの付き合い方のコツも自然と身についてくる。
今では京都で二児の父として子育てをしているが、関東出身だからといって不便や不都合を感じることは一切ない。
むしろ、想像以上に気さくで親しみやすいパパ・ママが多いことに驚かされる。
ただし、奥さんが関西人であることは、関東人として頼もしい面もある。
子育てについて偉そうに語っているが、実際にお母さん同士の付き合いをうまく回してくれているのは奥さんの力であることをここで付け加えておきたい。
いかがだっただろうか。
京都移住については他にも聞かれることが多く話のネタには事欠かない。
関東出身者にとって京都は憧れの土地であると同時に敷居が高いと思われがちだが、実際に住んでみるとそんなことはなく、程よい距離感で近所付き合いもでき、意外と住みやすい街だと実感している。
また、移住者ならではの特権として、「生活しながら旅行気分を味わえる」という楽しみもあり、今でも八坂や清水寺、嵐山などを散策すると自然とテンションが上がる。
京都が好きだという気持ちさえあれば移住も案外なんとかなるものだ。
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