京都に移住してもうすぐ16年が経過するが定期的に訪れてしまうのが「鞍馬寺」。
春・秋の観光シーズンだけでなくよく晴れた日やよく雨が降る日にも行きたくなる。
はじめて訪れたのが京都に移住する3年くらい前で、20代中頃のやや都会育ちの自分には山寺という響きにグッとくるものがあり、ジャケパンスタイルにトリッカーズのブーツという格好で訪れた記憶が濃厚に残っている。
はじめての参拝からもうすぐ20年が経過するが鞍馬寺には飽きることもなく毎年5回程度は訪れている。
なぜ、そこまで訪れるのかと聞かれたら「鞍馬寺」には山寺ならではの魅力がすべて詰まっているから。
気軽に味わえる小さな旅
よく晴れた日にお気に入りの「宝ヶ池駅」から乗車し、観光列車「きらら」に乗って鞍馬駅に向かう。
市街地を走るのどかな風景から一転して「二ノ瀬駅」〜「鞍馬駅」間は山間部を走り、旅気分が一気に高まる。
終点「鞍馬駅」山々に囲まれた大自然の中にあり、やたらと天狗と牛若丸推しの駅構内と寺院風の木造建築でレトロな風貌の駅舎は近畿の駅百選にも選出されている。
駅周辺にはコンビニやスーパーはなく、山門までの参道にはお土産屋と飲食店がチラホラある程度なのでできれば食料は出町柳駅で調達しておくのがポイント。
鞍馬駅すぐ近くにある「多聞堂」がオープンしていたら名物「牛若餅」を迷わずゲットするのがおすすめ。
鞍馬駅から山門まで徒歩5分程度で到着。
入山料として愛山費500円を入口で支払い晴れていれば本殿まで登山。
雨が降っていればケーブルカーもあるから気分によって使いわけ可能。
本殿までの参道途中に毎年10月22日に開催される京都三大奇祭のひとつ「鞍馬の火祭」の舞台で知られる「由岐神社」を参拝。
宇宙エネルギーを授かってみる
歩くだけでネイチャーヒーリングの効果のある山道を20分程度登っていき、疲れた体にこたえる石階段を登りきると山寺の醍醐味である見事なマウンテンビュー。
本殿金堂前にある京都イチのパワースポットとされる「金剛床」の中心に立ち、人目を気にせず祈りを込めながら両手を広げて宇宙と繋がってみる。
心が浄化されたら本殿のある金堂へ。
ここに祀られている尊天とは千手観音菩薩・毘沙門天王・護法魔王尊が三身一体の本尊であり秘仏で60年に一度だけ公開され次の公開は2046年となる。
天井が高く薄暗い境内を進むと「清浄髪」が奉納された地下へ続く階段があり、蝋燭あかりだけのほぼ真っ暗な空間は初見では恐怖すら感じるかもしれない。
ただ、奉納されているのは骨ではなく髪。
髪をおさめる理由として髪が自分の分身となり、尊天のそばに自分の分身を置くことで、尊天のお力を頂きたいという願いが込められているからとか。
このことを知ってから不思議と恐怖感がなくなり神秘的な空間としてお力を頂戴しに訪れるようにしている。
手の届きそうな距離感で国宝「毘沙門天立像」を拝む
鞍馬寺を参拝した後は寺宝が奉安されている霊宝殿に立ち寄るのがおすすめ。
信仰と自然科学と人文科学の総合博物館として3階建ての館内には鞍馬山の昆虫やきのこに岩石などの展示室に牛若丸の歴史紹介やゆかりの寺宝が展示されている。
他にも鞍馬寺にゆかりのある与謝野晶子の書斎「冬柏亭」を移築再現された部屋の展示もある。
いろいろ盛りだくさんの霊宝殿だが、なんといってもお値打ちなのが国宝展示ではありえないぐらいの距離感で拝観できる仏像奉安室。
国宝1点、重要文化財2点のほか合計7点の仏像が少し広めの畳部屋にガラスケース等遮るものがなく手を伸ばせば届く距離感で奉安されている。
シーズンオフであれば人もあまり来ないのでこの贅沢な環境を独占することもできる。
これで入館料200円は破格と言わざるをえない。
これだけ魅力が詰まっているから毎年5回程度訪れてしまう鞍馬寺。
知人から京都でおすすめの場所と聞かれたら迷いなくここ鞍馬を推すことにしている。
そして鞍馬の金剛床で宇宙エネルギーを授かり英気を養うことを激推ししている。