今日は抜けるような快晴で気分も上々。
ちょっとしたハイキングに出かけることにした。
スタート地点は山科駅。
山科駅はJR、京阪、市営地下鉄の3路線が交差する便利な拠点で、京都・滋賀・大阪へのアクセスも良好。
山科駅から南禅寺までのハイキングコースは毘沙門堂から行くことができるとのことなので、まず毘沙門堂を目指して歩き始めることにした。

ここから毘沙門堂までは約900m、ひたすら直進するだけの道のり。
住宅地を通るため、道中の景観は特別華やかというわけではないが、日常の暮らしを垣間見ることができるのはまた楽しいもの。

思わず足を止めて眺めてしまう、ちょっとした癒やしのスポット。
ここら辺りから、住宅地の景観から一変してほのぼのとした自然美にあふれる景色が広がってきた。
歩きながら「やっと山科らしい雰囲気になってきたな」と感じていたところ、どうやらこの一帯は風致地区に指定されている場所だったらしい。


少し色あせた文字や昔ながらのデザインが、駅の歴史と長年の人々の往来を物語っており、
通り過ぎるだけでもタイムスリップしたような気分になる。
さらに歩を進めること約5分、緑に囲まれた道の先に毘沙門堂の入り口が見えてきた。
門構えからは歴史の重みと静謐な雰囲気が漂い、ここからハイキングの本格的な自然散策が始まる予感がする。

毘沙門堂は天台宗の門跡寺院で、紅葉の季節には山科でも特に多くの観光客で賑わう名刹。
平安末期以降、度重なる戦乱で一時は荒廃したものの、新鬼武者で知られる天海とその弟子・公海によって現在地に再建されたという歴史を持つ。
境内に足を踏み入れると、荘厳な本堂や美しい庭園、朱色の楼門が調和し、歴史の重みを肌で感じられる。
また、境内には季節ごとに様々な花が咲き、春の桜や秋の紅葉だけでなく、四季折々の風情を楽しむことができる。
ハイキングコースの途中に位置するため、自然散策を兼ねて訪れる人も多く、静かに歴史と自然を堪能できるスポットとなっている。

毘沙門堂を後にするとすぐ隣には山科聖天が現れる。
静かな参道を進むと、毘沙門堂の荘厳さとはまた違った、親しみやすい空気が漂う小さな寺社で、散策の道中にほっと一息つけるスポット。

毘沙門堂を後にすると、すぐ脇にハイキングコースの入り口が現れる。
ここから本格的な自然散策が始まり、山道に足を踏み入れると静かな森の空気に包まれ、街中では味わえない心地よいひとときが始まる。



山科聖天からさらに15分ほど歩くと、深い森へと続くハイキングコースの入り口にたどり着く。
ここには道標もほとんどなく、周囲の木々が生い茂るため少し心細さも感じる。

ここから先は完全に森の中に入る。
道は舗装されておらず、踏み跡のような自然の小道が続くため、進む方向を間違えるのではないかという不安が少し募る。

自然の息吹を全身で感じられる特別な区間でもある

小さな案内板や手すり、木道のような人工物が目に入るたび、
「道を間違えていない」という確信が得られ、心細さが少し和らぐ。
山科聖天からここまで約40分ほど歩いてきた。
アップダウンが続く道のりで、体力的には少し疲れを感じる頃、陽の光があまり差し込まない森の中を進む中で、突然開けた見晴らしポイントに出会う。

歩き始めてから約50分、ようやく山道の道標が姿を現した。
深い森の中で久しぶりに人工物を目にすると、迷わず進めているという安心感がぐっと増す。
これで少し気持ちも軽くなり、残りのハイキングをより楽しめそうだ。

こんな山の中でもGoogle Mapが使えるのは本当に心強い。
今いる場所の地名は七福思案処というらしく、ちょっと縁起のよさそうな名前に元気が湧いてくる。
南禅寺まではあと20分ほどとのことで、下り坂が続く道にもかかわらず足取りが軽くなる。
ただ、下るのも油断すると滑りそうでなかなか神経を使う…登りとは違った意味での体力が必要。
10分ほど下ったところで、木々の間から寺院らしき建物の屋根が見えはじめ、ゴールが近いことを知らせてくれる。

ようやく人里に戻ってきた安堵感に包まれる。
ここが南禅寺の奥の院らしく普段なら足を伸ばさない場所だけに少し特別な達成感を感じる。
さらに下山を続けると森の中でひっそりと隠れていた水路閣が姿を現す。
レンガ造りのアーチが連なる景観はハイキングの締めくくりにふさわしい印象的な光景。

ようやく南禅寺の山門に到着。
自分は比較的健脚なので、山科駅からおよそ90分で歩き切ることができた。
登山と呼ぶにはアップダウンもそれほど激しくなく、ハイキングとしてはほとんど森の中を歩くため、景色はあまり変化に富んでいない。
そのせいか、このコースでは道中、誰ともすれ違うことはなかった。
静寂に包まれた森を独占できる、ちょっと贅沢なハイキング体験だったといえる。

では、ひと息つくためにすぐ近くにあるブルーボトルコーヒーで一杯。
ハイキングで火照った体を落ち着けつつ、森を抜けて街に戻る余韻に浸りながら、ゆったりとした時間を楽しむ。
コーヒーの香りと静かな店内が、今日の山歩きの締めくくりにぴったり。

京都観光の強い味方↓