ダフトパンクやファットボーイスリムがケミカルブラザーズの曲をREMIX!シングル盤に収録されている隠れたオススメREMIX10選!!

デジタルロックの革命児と呼ばれてからもう27年。

いまやテクノ界だけでなく音楽全体のスーパースターへと登りつめたケミカル・ブラザーズ。

sazm自身、バリバリのギターキッズだった10代のある日、J-WAVE「TOKIO HOT 100」で流れた「Block Rockin’ Beats」に感電するような衝撃を受け、大名盤『Dig Your Own Hole』を何百回と聴き倒す日々が始まる。

ギターからデジタルロック、そしてテクノへ―――その扉を開いてくれたのがケミカル・ブラザーズ。

影響を受けたアーティストを5人挙げるとすれば間違いなくそのひとりに入る存在。

DJを始めてからはケミカルブラザーズの12インチシングルがリリースされたら迷わず購入。

シングルにしか収録されていないキラーREMIXをプレイしてフロアを沸かした懐かしい過去を思い出す。

今回はケミカル・ブラザーズの12インチに埋もれていた知られざるキラーREMIXを10タイトル厳選して紹介。

中には「あの大御所」が手がけたヤバいREMIXもあるのでケミカル好きなら要チェック。


LEAVE HOME / UNDERWORLD REMIX

1995年リリースのデビュー・アルバム『Exit Planet Dust』からのシングルカット「Leave Home」。

この曲をなんと今やテクノ界のレジェンドUNDERWORLDがREMIX!

この頃のUNDERWORLDといえばダレンエマーソンが加入してロックよりからテクノ路線へシフトチェンジをした頃で、あの名曲「Born Slippy」をリリースした年。

UNDERWOLRDほどのビックネームが新人だったケミカルブラザーズのREMIXを手がけるということでどれだけ期待のアーティストだったかが窺い知れる。

ややトランシーで、フロアにも映える高揚感があり90s UKテクノの熱量が詰め込まれている。

LIFE IS SWEET / DAFT PUNK REMIX

こちらもファースト・アルバム『Exit Planet Dust』からのシングルカット「Life Is Sweet」。

リミックスを手がけたのはなんとDAFT PUNK

まだ名盤『Homework』をリリースする前の頃だが、すでに「Da Funk」的なストリート感と低重心のグルーヴを感じさせるリミックス。

サイケデリックなギターと変則ビートが特徴的な原曲を潔く4つ打ちのハウス仕様へアレンジ。

キック、ハット、スネア——リズムの骨組みひとつひとつの質感がとにかく素晴らしく、特にキックの「ドン、ドン」と4つ打ちに切り替わる瞬間の破壊力は圧巻でここで必ずフロアが沸く。

このREMIXにはケミカルとダフトの”化学反応”が最高の形で表現されている。

BLOCK ROCKIN’ BEATS / THE MICRONAUTS REMIX

大名盤『Dig Your Own Hole』に収録された、ケミカル・ブラザーズの出世作にして90年代デジタルロックの象徴的アンセム「Block Rockin’ Beats」

ベース、ドラム、ヴォイスサンプルなど文句なしの完璧な原曲をなんとジャーマン・テクノの異才 The Micronautsが大胆にREMIX

しかも中盤以降は原曲の面影ゼロという潔さ。

太く腹に響くキック、誇張されたハイハット、そして変則的にうねるリズムの仕事ぶりがとにかく秀逸。

これをクラブでかけると100%フロアが反応する問答無用のキラートラック。

The Micronautsの狂気とケミカルの衝動がぶつかり合った攻めの一曲。

ELEKTROBANK / DUST BROTHERS REMIX

こちらも『Dig Your Own Hole』収録の名曲「Elektrobank」。

たたみかけるようなハイエナジーなブレイクビーツに、早口でまくしたてるヴォイスサンプルが強烈な1曲。

面白いのは、このREMIXを手がけたのがアメリカの本家Dust Brothersであるという点。

ケミカル・ブラザーズが元々「Dust Brothers」名義で活動していたが、すでにアメリカに同名のユニットがいたために改名を余儀なくされた経緯がある。

本家Dust Brothersといえば、ベックの金字塔アルバム『Odelay』や『ファイト・クラブ』のサントラでも知られるプロデューサー・デュオ。

彼らの十八番でもあるサンプリングとカットアップのセンスが炸裂していて、原曲の骨組みをバラし、コラージュ的に再構築。

MUSIC RESPONSE / FUTURE SHOCK REMIX

『Dig Your Own Hole』に続き、さらなる進化を遂げた3rdアルバム『Surrender』のオープニングを飾る「Music Response」

このリミックスで挑んだのは、“次世代UNDERWORLD”の呼び声も高かったUKのFutureshock

当時のプログレッシブ・ハウス・シーンを牽引していた注目株。

原曲は攻撃的なビートとピコピコしたシンセで一気に畳みかけるアルバムの幕開けを象徴するようなナンバーだが、それをFutureshockは、8分超の完全フロア仕様にビルドアップ

原曲のアイコニックな“ピコピコシンセ”がなければ、ケミカルのリミックスとは気づかないほどオリジナリティに満ちたアレンジになっている。

クラブ仕様のリミックスとしての完成度と攻めの姿勢どちらも超一級。

OUT OF CONTROL / THE AVALANCHES REMIX

『Surrender』収録曲の中でも、特に印象深い「Out of Control」。

ニュー・オーダーのバーナード・サムナーをヴォーカルに迎えた、ケミカル・ブラザーズ流のロック/ダンス融合が極まったハイライト・トラック。

この楽曲をリミックスしたのがオーストラリア・メルボルン発のエレクトロニック集団 The Avalanches

原曲は、重量感のある4つ打ちと荒々しいシンセベースが暴れ回るまさにフロア向けのアンセムだったが、Avalanchesはそこから一転、ドリーミーで浮遊感のあるサウンドスケープへと大胆に再構築している。

リズムの重みを取り払いヴォーカルとパッド、柔らかい質感のループを活かしたリミックスはまるで朝方のチルアウト・セットに溶け込むような心地よさ。

オリジナルの勢いと対照的にリスニングに最適な繊細な仕上がりが光る一曲。

COME WITH US / FATBOY SLIM REMIX

4枚目のアルバム『Come With Us』の表題曲にして、オープニングを飾る「Come With Us」。

過去の彼らにはなかった荘厳なイントロからドラマティックに立ち上がる展開が印象的で、アルバム全体のスケール感を象徴するこの曲のリミックスで挑んだのが、UKを代表するもうひとりの巨頭Fatboy Slim。

原曲では比較的テンポを落としたブレイクビーツだったが、Fatboy Slimはそこに自身の代表曲「Star 69」にも通じる4つ打ちハードハウスに仕立て上げフロア仕様のピークタイム・アンセムへと変貌させている。

扱い方次第でフロアの空気を一気に変えてしまう、まさに“取り扱い注意”なトラック。

GET YOURSELF HIGH / SWITCHES RELY ON RUB REMIX

2003年にリリースされたシングル「Get Yourself High」は、ケミカル・ブラザーズのベスト盤『Singles 93–03』のみに収録されたレアトラック。

本作のリミックス・バージョンは、アーティストの詳細が不明ながらその完成度の高さで根強い人気を誇っている。

原曲ではカナダ出身のラッパーK-OSのタイトなフロウと、アシッド感のあるシンセサウンドが絶妙に絡み合っていたが、このリミックスではより無機質なエレクトロ・テイストにシフト。

全体にピコピコとした電子音が飛び交い機械的なグルーヴでじわじわと引き込まれていく構成が印象的。

中盤から挿入されるK-OSのラップが、リズムトラックのクールな佇まいと絶妙にマッチし、一種の冷たさと熱を同居させたような独特の空気感を生み出している。

構成も音使いも非常に緻密で、単なるB面とは言い難い完成度。

GALVANIZE / SWITCH REMIX

2005年リリースの5thアルバム『Push the Button』からの代表曲「Galvanize」。

A Tribe Called QuestのQ-Tipをフィーチャーし、ヒップホップとエレクトロを見事に融合させたこのトラックは、グラミー賞「ベスト・ダンス・レコーディング」も受賞した、ケミカル・ブラザーズのキャリアを語る上でも外せない1曲。

このヒット曲をリミックスしたのは、「A Bit Patchy」のヒットで知られるSWITCH

原曲の象徴とも言える“ジャンジャンジャーン”と鳴り響く派手なシンセフレーズを思い切って削ぎ落とし、リズムに特化したミニマルなトラックへと再構築。

特徴的なピコピコ系のサウンドと、ビートのキレの良さが際立ち、Q-Tipのラップをより前面に押し出した仕上がりになっている。

SWOON / BOYS NOIZE REMIX

7枚目のアルバム『Further』に収録された「Swoon」は、ケミカル・ブラザーズが「Star Guitar」で確立したメロウで幻想的な世界観をさらに推し進めたような美メロハウス。

この楽曲をリミックスしたのは、次世代のデジタルロック~エレクトロシーンを担うBoys Noize。

その名の通り“サマーミックス”として発表されたこのヴァージョンは、原曲のメローな質感は残しつつビートはハードでアグレッシブなエレクトロ・サウンドに変貌させ、よりフロアよりにアレンジ。

オリジナルの持つ“陶酔感”に、Boys Noizeの“攻め”が加わった良リミックス。


いかがだったろうか。

ケミカルの楽曲は完成度が高いぶんリミックスする側の技量が求められるが今回紹介したトラックはどれも個性的で聴き応えがある。

今は配信で気軽に聴けるけど昔は12インチを探してレコード屋を巡るのが当たり前。

中でも「It Began In Afrika」のプロモを手に入れたときの興奮は今でもよく覚えていて、想像を超えるトライバル・サウンドに衝撃を受けた。

今回のおすすめは「Block Rockin’ Beats」のMicronautsリミックス。

原曲のイメージをぶち壊してくる攻めたアレンジで、とにかく音がデカくて強い。

ぜひフルで体験してみてほしい。

ケミカルブラザーズによるDJ MIX CDを解説↓

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