朝8時と夜8時に訪れたくなる京都のスタバ

スターバックスのアプリにある「マイストアパスポート」でスタンプを集めるのが趣味というくらいスタバが好きで、朝はランニングで体を動かし、そのままスタバに立ち寄って読書や作業をするのが自分にとって理想的な休日の過ごし方になっている。

全国には「スターバックス リージョナル ランドマーク ストア」と呼ばれる、地域ごとの文化や風景に溶け込むようにデザインされた特別なスタバが存在し、京都にはそのうちの2店舗がある。

ひとつは宇治の「平等院表参道店」、もうひとつは風情ある石畳に建つ「二寧坂ヤサカ茶屋店」

どちらも京都らしい景観と調和した観光地ならではの趣を感じられる店舗。

そのほかにも、街中で六角堂を眺めながらコーヒーが楽しめる「烏丸六角店」や、夏には鴨川納涼床で京都の風情を味わえる「三条大橋店」など、もはや“観光地の一部”といっても過言ではないスタバが京都にはいくつもある。

宇治の「平等院参道店」。
店名の通り参道内にあり、庭園を眺めながらコーヒーを飲むことができる。
2017年にオープンした「京都二寧坂ヤサカ茶屋店」は、暖簾や畳の間を取り入れた世界初の和風スタバ。
コロナ禍は貸切状態の日もあったが、今では朝から観光客で満席に。
比較的空いているのは夕方6時以降。静かな京都を感じたいならこの時間帯がおすすめ。

京都にたくさんあるスタバの中でも、いちばんよく通ってるのが「京都岡崎 蔦屋書店」に併設された店舗。

2016年に京都会館がロームシアター京都にリニューアルしたタイミングで同じ敷地内にオープン。

「京都岡崎」と言われてもピンとこない人も多いと思う。

実際、京都市民でも「岡崎」って地名に詳しい人はそんなにいないかもしれない。

このエリアは、平安神宮を中心に、ロームシアター京都、京都市京セラ美術館、国立近代美術館、京都府立図書館、京都市動物園などが集結し「京都岡崎文化ゾーン」と呼ばれている。

このエリアはもともと六勝寺という「勝」のつく6つのお寺の総称で東西1.2km、南北1km以上の広大な敷地に造営された巨大寺院群があった場所。

法勝寺町をはじめ、現在でも各寺の故地に町名となって残されている。

そんな京都を代表する京都岡崎文化ゾーンにあるスタバだけあって基本的には混雑している。

でも、開店直後の8時台と観光客がまったくいなくなりひっそりとした夜8時以降はなんとも居心地のいい時間を満喫することができる。

京都岡崎蔦屋書店にはテラス席のほか、1F店内と3Fにも飲食スペースがある。
3Fはアート系の本が読めて、大きな作業机や家族連れ向けのソファ席もあって快適。
あまり知られていない穴場スポット。
テラス席すぐ横には広々とした岡崎公園があり、春は満開の桜が眩い。
土日祝には何かしらイベントが行われていて観光客だけでなく京都市民の憩いの場所として機能している。
京都蔦屋書店が閉店する夜8時以降は客も少なくなる。
この日はテラス席に勉強中の大学生、英語学習中の30代男性、そして人生を俯瞰する40代の自分だけ。
ロームシアターで夜公演がある日は、21時前後に少し賑やかになることも。

飲食スペースは蔦屋書店と併設された1F店内と観光客にはあまり知られていない穴場の3F、そして岡崎公園と一体化したようなテラス席があるが、自分はもっぱら二条通り沿いのテラス席を利用している。

朝は心地よい明るい日差しの中で創作系の作業がとてもはかどり効率がいい。

テラスでは春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節を感じながら飲むコーヒーは格別。

そして、夜8時以降の時間帯は観光客よりも地元民や学生達がメイン。

散歩の帰りに立ち寄る人や、仕事終わりに一息つく人がほとんどでゆるやかにローカルな空気が流れている

そもそもこの岡崎エリアはロームシアター京都がリニューアルする以前は、どこの施設も夕方5時には閉まり、夜になると真っ暗で誰も寄りつかない場所だった。

自分自身も、夜8時台にこの辺りに来るなんてことはなかったし、その感覚は今でも京都市民の中に根づいている気がする。

さらに岡崎エリアの弱点として、飲食店の数が圧倒的に少ない

文化施設は集中しているけれど繁華街的な要素が乏しく、どうしても夜になると人の流れは京都駅や河原町方面に流れてしまう。

そんな背景もあって夜の岡崎エリアは今でも静かで落ち着いていて自分にとっては隠れた名スポット。

開店直後のテラス席。
視線の先には京セラ美術館と東山が見える。
この日はズームで英語学習している30代男性の中途半端なネイティヴ英語が耳障りで人生を俯瞰することができなかった。

ロームシアター京都や京セラ美術館のリニューアル、そして岡崎公園の再整備によって、この岡崎エリアは以前に比べて格段に魅力的になったと思う。

昼間であれば行列覚悟にはなるけど、山元麺蔵グリル子宝おかきたで京都グルメを満喫できるし、お腹を満たしたあとは岡崎公園の木陰で昼寝。

午後のスイーツには「ラ・ヴァチュール」のタルトタタンがおすすめ。

少し歩いて丸太町通り沿いにある「ブルーパロット」に立ち寄れば、豊富な品揃えとコンディションの良いアンティークとの出会いも楽しめる。

ちなみに自分の家にあるタンスは昭和初期のアンティークで、14年ほど前にブルーパロットで購入したもの。

一度メンテナンスしただけでいまもまったくガタがきていない。

ラ・ヴァチュールの名物、りんごのタルトタタン。
先代のレシピをお孫さんが受け継いでくれたことで今でも味わうことができる。
寄り道してでも味わって欲しい逸品。

京都には数多くのスタバがあるけど、「この時間帯に行くならここが最高」という視点で選ぶなら、今のヘビーローテーションはやっぱり京都岡崎蔦屋書店。

特に春と秋は、京都に住んでいて本当によかったと心から思える瞬間がある。

そんなささやかな幸福感をぜひ一度体験してみてほしい。

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