1995年にリリースされたDJ HELLのテクノクラシック選曲による貴重なDJ MIX

90年代初期、テクノ黎明期の貴重なDJ MIXをリリースしていたレーベル!K7の看板シリーズX-MIX

93年にリリースされた記念すべき1作目のPAUL VAN DYKから98年リリースのHARDFLOORまでテクノDJのプレイ・DJ機材がまだまだ発展途上なころのDJ MIXが収録されていてテクノDJにとってレジェンド的扱いされているシリーズ。

なかでも97年にリリースされたKEN ISHIIのDJ MIXは今聴いても選曲に色褪せが全く感じさせません。

この選曲は真似できない!テクノゴッドのセンスが凝縮したDJ MIX「 Ken Ishii / X-MIX」

リリース元である!K7はもともと映像主体のレーベルでしたが93年に音楽部門を立ち上げ、X-MIXと幅広いジャンルのDJ MIXを紹介しているDJ Kicksという名門シリーズも展開しています。

映像主体のレーベルだけあってこのX-MIXはVISUAL版もあり、DJが選曲したテクノに合わせてサイケデリックかつ機械的なビデオクリップを収録したVHS版もリリースされていました。

今回、ご紹介するのはテクノ界ダンディー部門第1位であるDJ HELLがエレクトロ色なし、90年代初期のデトロイトテクノ、シカゴハウス、NYハウスを散りばめた興味深い内容となっています。

全19曲75分

1 Sound Vandals / On Your Way

2 DJ Skull / Don’t Stop The Beat

3 Tronikhouse / Smooth Groove

4 Surgeon / Atol

5 Phortune / Can You Feel the Bass

6 Richard Bartz / B1

7 Mike Dearborn / Nesw Dimension

8 Steve Poindexter / Let’s Work That Motherfucker

9 E-Dancer / Pump The Move

10 Ron Trent / The Afterlife

11 K Alexi Shelby / All For Lisa

12 IO / Station to Station

13 Random Noise Generation / Hysteria

14 Etat Solide / Think About it

15 Bernard Badie / Can You Feel It

16 Nick Holder / Erotic Illusion

17 Bobby Konders / Let There Be House

18 DJ Hell / My Definition Be House

19 DJ Hell / Herz

DJ HELLといえば2000年代に流行したエレクトロクラッシュ、ニューウェーヴの重要人物。

92年にベルギーの名門レーベルR&Sより「My Diffinitition of House Music」でデビュー。

96年には自身のレーベルINTERNATIONAL DEEJAY GIGOLO RECORDSを立ち上げ、JEFF MILLSやVITALIC、TIGAなどのヒット曲をリリースしています。

なかでも癖のあるCHRISTOPHER JUSTの「I’M A DISCO DANCER」は大ヒットしました。

DJ HELLのヒット曲としてバリー・マニロウの「コパカパーナ」を大胆にサンプリングした「COPA」が有名です。

2000年以降のDJ HELLはニューウェーヴの影響を色濃く反映させたエレクトロ・サウンド・スタイルが確立されましたが、このX-MIXではそんなグルーヴを微塵も感じさせず、テクノのルーツを辿るような選曲となっています。

このDJ MIXの冒頭を飾るのがNYのカルトレーベルNu Groove RecordsよりリリースされたDEEPなハウスTHE SOUND VANDALS「On Your Way」からスタート。

今のDJ HELLからは想像がつかない意外な選曲。

90年代初期のDJ御用達アーティストDJ SKULL「Don’t Stop The Beat」。

チープなビートに小気味良いアシッドベースと90年台っぽいシンセが特徴的。

このDJ MIXでなかなか聴きごたえがあるのが随所に散りばめられたシカゴ産アシッドハウス

シカゴハウスのお手本ともいうべきチープなビートにピコピコベース、感情無しの語り口調が芳醇な色気を放つPHORTUNE「Can You Feel The Bass?」。

疾走感あるスッカスカなビートに放送禁止用語のヴォイスループが駆け回るSTEVE POINDEXTER「Work That M************r」

そして当時のテクノDJの課題曲というべきE-DANCERの癖のあるシャリシャリハイハットでお馴染み「Pump The Move」を見事にカットインMIX。

この曲を使ったベストMIXは田中フミヤさんのMIX-UP 4に収録されていたMIXがピカイチ。

ライブ一発録音なのにあの漢気溢れるカットインは今聴いても痺れます。

ここまでテクノの名曲で盛り上げたきたところでシカゴハウスのレジェンドRON TORENT「The Afterlife」を選曲。

この流れでこのDEEP HOUSE選曲はやや技あり。

シカゴのアーティストK ALEXI SHELBYがDERRICK MAYが主宰するTRANSMATからリリースしたALL FOR LISA「Mr K Alexi Shelby」。

この曲も時代感をモロに感じさせる妖艶なシンセメロディーとピアノフレーズが印象的なBOBBY KONDERS「Let There Be House」。

ラストはDJ HELL自身のデビュー曲「My Definition of House」と「Herz」で幕を締めます。

いかがでしたでしょうか。

90年代初期〜中盤のDJ MIXはタイトル数が極端に少なく、X-MIXのようにオフィシャルでリリースされているのはその時代のDJの記録としてとても貴重です。

イコライザーやミキサーもまだまだ不十分な時代にしては曲と曲の繋ぎも違和感なくグルーヴを損なうことなくMIXされています。

このX-MIXシリーズは全10タイトルまでありますが初期の5作品が特にレトロな音色を感じさせるテクノクラシック揃いで今のテクノと聴き比べると逆に新鮮です。

今ではレジェンド扱いのDJ HELLによるテクノクラシック選曲が聴けるのはこのX-MIXだけ。

ぜひ聴いてみて下さい🙂

↓X-MIXシリーズと並ぶDJ MIXのバイブル

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