こんにちは。
以前にこちらのブログで紹介した伝説のクラブYELLOWの最終マンスリースケジュール。
YELLOWでは、DJ EMMAやKO KIMURA、石野卓球ら国内TOP DJのレギュラーイベントが毎月開催されていたり、FRANCOIS.KやDERRICK MAY、DAVID MORALESなど海外のTOP DJも来日してプレイする国内トップクラスの大箱。
2008年にクローズしてしまいましたが、筆者の20代の青春を謳歌したと言っても過言ではない思い出深いクラブです。
今回もYELLOWのマンスリースケジュールと同じく、机の引き出しを整理していたら懐かしいフライヤーが発掘されました。
そのフライヤーとは筆者にとって憧れのDJであり、選曲・プレイスタイルなど影響を受けまくった田中フミヤ氏が主催するKARAFUTO名義のパーティー「MASK」。
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/9D4EF894-0831-445D-8D55-BCB90D701214.jpeg)
特徴的なデザインのこのフライヤーですが、パーティーごとにお面の種類が変わるのでコレクションしてました。
イベント後期になるとシンプルながら蛍光色で目立つデザインに変更。
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/F75AE75C-DFFB-4884-A565-3FF7F3ACA0DD.jpeg)
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/25A7C4DF-BBA7-4D1D-BCF7-97C9555E837E.jpeg)
このフライヤーの大きさが名刺サイズなので財布にすっぽり収まります。
入口で提示すると500円引きで2,500円にディスカウント。
しかも2ドリンク付きととてもお得!
筆者の記憶ではこの「MASK」は不定期開催で週末だけでなく木曜日開催もありました。
YELLOWでの田中フミヤ氏のパーティーといえば「DISTORTION」。
筆者がクラブに行き始めた頃には「DISTORTION」ではなく、ハードテクノ選曲ではあるものの「MIX-UP 4」で聴かせたあのゴリゴリ感は少し控えめで、より深みのある選曲となった「CHAOS」に変わってましたが、YELLOWのクロージング月に「DISTORTION」が復活。
この頃になるとクリックテクノ選曲が中心でしたが、かなりハードなテクノ選曲で興奮した記憶があります。
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2021/06/A4AD7C35-DB2B-4F86-B730-AC3B8CB50617-1024x736.jpeg)
KARAFUTO名義とは
KARAFUTO名義では「本名名義からこぼれ落ちるものがテーマ」とのこと。
本名名義がテクノ中心であれば、ハウス、エレクトロニカ、ドラムンベース、ジャズ、ダブなどなど幅広い音楽ジャンルを横断するのがKARAFUTO名義。
1996年にKARAFUTO名義でリリースされたファーストシングルに収録されていた「Funky Squad」はジャジー&ソウルなサンプリングネタのループでテクノDJだけでなくハウス〜クロスオーバーDJにも重宝された名曲。
1998年にCDシングルとしてリリースされたサマーハウス「Shadow」。
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/B0BAEBA5-6205-46F1-8058-C7C515DCF84F.jpeg)
80’sポップグループJETSの大ヒット曲「Crush On You」のブレイクパート4小節をループさせ小気味良いビートでリゾート感溢れる名曲です。
あと、KARAFUTOで記憶に残っているのが「マンスリーシリーズ」。
その名の通り毎月10インチアナログシングルをリリース。
それぞれ曲のタイトルが「Monthly #2 A」とか「Monthly #4 AA-1」などシンプル。
このシリーズは音響系エレクトロニカとジャズが融合したヒヤリング向きな作品が多いのが特徴。
「10 Inch Works」と題したCDもリリースされました。
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/A13C6751-46BE-4502-B10A-83CD0B111518.jpeg)
そして大傑作として名高いKARAFUTO名義でリリースされたフルアルバム「individual orchestra」
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/9080249B-114B-4231-8156-2C18C187135B.jpeg)
「shadow」から1ヶ月後にリリースされた本作は村上“ポンタ”秀一や山木秀夫をはじめとするミュージシャンたちがゲスト参加。
今までのKARAFUTO作品とは一線を画すスピリチャルなフリージャズ路線。
特筆すべき曲として5曲目の「Living Of Key」。
筆者がカフェラウンジのDJで選曲するとほぼ100%ざわめきが起こるキラートラック。
今聴いても痺れます。
KARAFUTO名義でのDJ MIX CD
KARAFUTO名義でオフィシャルでリリースされているDJ MIX CDは2タイトルあります。
「MASK」でのDJプレイを凝縮した「KARAFUTO DJ MIX 1/2」(2枚組)
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/11F8A088-00CF-49DA-9C75-82DECAE12F53.jpeg)
このDJ MIXは盤面が傷だらけになるくらい良く聴いたマイ・フェイバリットです。
ハウス、エレクトロニカ、アンビエント、ドラムンベースなどハードテクノ以外の曲で構成。
こんな選曲なのに踊れる要素があり、超絶テクニックで違和感なくミックスしてしまうのが流石です。
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/B805CD41-8704-4CA6-B4DB-20BC7FA7F259.jpeg)
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/68DA1571-D8C3-4709-BB82-2988DBBF1E26.jpeg)
もうひとつが2006年1月、代官山UNITでのDJプレイをライブ録音した「Shift to the other time : KARAFUTO Live Mix at UNIT 28.1.2006」
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/11F9C121-B818-4032-9812-60B83A267FDD.jpeg)
この頃になるとハウス〜クリックテクノ中心で現在のフミヤさんにも通ずるプレイが聴けます。
4つ打ちとはいえミックスが難しい曲をライブで違和感なくミックスしてしまう技量にため息。
この頃になると職人の域に達しています。
↓収録曲から抜粋
こちらはオフィシャルではないのですが、CDシングル「Shadow」に封入されていた応募カードを送るともれなくプレゼントされていたミックステープ。
レコードショップ「CISCO」でもノベルティで配布されていました。
KARAFUTOの魅力
本人名義とはかけ離れた作品・選曲でありながら中途半端な感じが一才なくアーティストKARAFUTOとしての世界観が見事に表現されています。
特に唯一のフルアルバム「individual orchestra」はテクノアーティストである田中フミヤ氏のフィルターを通すことで、ジャズの質感にアンダーグラウンドな響きが共鳴し、ジャズに興味なかったリスナーに新たな世界観を提供することができた大傑作ではないでしょうか。
DJ MIXの選曲でも、心地良い高揚感がクセになり、結構な頻度で「MASK」に通っていました。
「MASK」のすごいところが田中フミヤ名義でプレイするような曲が選曲されないこと。
JEFF MILLSはもちろん、MIX UP4でよくプレイされていたハードバキバキ系は一才なし。
通い始めた当時はハードミニマルがプレイされることを微かに期待していましたが、後期になるとそんな期待は吹き飛んでKARAFUTOの選曲目当てになっていました。
なのでオフィシャルでリリースされたDJ MIXを聴くと同一人物かと疑いたくなるくらいセンスが別物。
共通するのは卓越したテクニックと計算された選曲。
当時、この選曲を大箱でプレイできるのは人気・実力No.1だったフミヤさんだからこそでしょう。
余談ですが、2022年になんと京都METROで田中フミヤ名義で来日!
DJプレイを体験するのはYELLOWクローズ月の「DISTORTION」ぶりなので14年ぶり!
![](https://sazmism-kyoto.com/wp-content/uploads/2023/07/69EBA233-5AEA-40A3-846C-4F0AB5537FF4.jpeg)
YELLOWではB1階からB2階のフロアへ続く螺旋階段からDJブースを覗き込んでいましたが今回は高い壁もなく目の前で拝見。
50歳を越えているはずのフミヤさんの容姿は渋さが増しただけで全く衰え知らず。
しかも、このデジタル音源が主流の今において全てアナログでミックス。
やっぱアナログの音は太くてズンズン響きます。
アナログレコードのミックスは緊張感があってまさにライヴ。
2枚のレコードがミックスされた瞬間の音の厚みがアート。
アラフォーの筆者が久しぶりに朝方までダンスフロアで踊っていました。
残念ながらKARAFUTO名義での活動は現在していませんが、その時期に培ったセンスが現在の田中フミヤ名義に継承されているように感じます。
20年以上経った今でも大事にフライヤーを所持してしまうぐらい影響を受けたKARAFUTO。
筆者の中で「MASK」での記憶は色褪せることがさなそうです🙂
YELLOWのダンスフロアと田中フミヤ氏のDJプレイ映像が観れる貴重な作品↓
デジタルDJ入門に最適DDJ-400の後継機種↓