ワイルドピッチ・スタイルの始祖DJピエールによるピークタイムさながらのDJ MIX!

NYCハウスシーンの名門NITE GROOVEの鉄板DJ MIXシリーズ「MIX THE VIBE」

シカゴ・アシッドハウスのパイオニアというべきPUTUREのメンバーとしてあの伝説的な名曲「Acid Track」を世に送り出したDJピエール。

90年代にシカゴからニューヨークに拠点を移し、ハウスレーベルの名門「Strictly Rhythm」のA&Rとして活躍。

今回、紹介する「MIX THE VIBE」はシカゴハウス色は一切なくNYCハウス中心。

ハードなトラックとヴォーカルハウスをバランス良く織り交ぜたピークタイムさながらの熱気感じさせる選曲となっている。

MIX THE VIBE / WILD PITCH SWITCH 2001

2001年リリース

1 Johnny Dangerrous / Emerald City

2 Kimara Lovelace / Misery

3 Danell Dixon / Dance Dance

4 DJ Pierre / Switch 2001

5 Mike Ski / The Beginning

6 DJ Pierre / Good Luv

7 Kimara Lovelace / I Luv You More

8 Elisha La’Verne / You Are the One

9 GTS / What Goes Around Comes Around

10 DJ Pierre / Dancin

11 Cevin Fisher & 7 / The Power

12 Ananda Project / Glory Glory

13 Shunji Moriwaki / Beat the Drum

14 Moogroove / Emergency

15 GTS / What Goes Around Comes Around


1曲目は「オズの魔法使い」ネタを使った94年リリースのハウスクラシックJohnny Dangerrous「Emerald City」

ファンタジックなネタがインパクト抜群で90年代NYCハウスシーンの象徴的な1曲。

続く2曲目は、NYハウスの名門レーベル King Street Sounds を代表する歌姫Kimara Lovelace のクラシックナンバー「Misery」

プロデュースはハウス界のレジェンドBlazeで、Kimaraのソウルフルな歌声とドラマチックな展開が、序盤からムーディーな雰囲気を醸し出す。

重厚なビートに黒くファンキーなグルーヴが渦巻くシカゴ産ハウスクラシックDANELL DIXON「DANCE DANNCE」。

このトラックはまさにワイルドピッチMIXの醍醐味でもある徐々にビルドアップされていく展開が圧巻。

個人的にも好きなミックスで、フロアの熱気を一気に高めるパワーを持っている。

このMIX CDのタイトルにもなっているDJピエールの名曲「SWITCH」は、グルーヴィーなベースラインに疾走感あふれるサックスが絡み合い、まさにドライブ感全開のトラック。

トライバルハードハウスの名手MIKE SKIが放つ「The Beginning」は、乱れ打つパーカッションが炸裂する一曲。

シンプルながら確実にフロアを熱くさせる、DJたちからも絶大な支持を受ける名曲。

今回のMIX CDのハイライトとも言えるのが、KIMARA LOVELACEのスウィートヴォーカルハウスの決定版「I Luv You More」

David MoralesやDanny Krivitといった巨匠たちも、ここぞという場面でこぞってヘヴィープレイしていた名曲。

甘くてキャッチーなヴォーカルと洗練されたビートが絶妙に絡み合う、NYCヴォーカルハウスの真髄を感じさせるトラック。

続いて登場するのは、R&BシンガーElisha La Verneによるメロウなソウルナンバー「You Are the One」の王道ヴォーカルハウス・リミックス。

美メロヴォーカルハウスが続きフロアが一気に多幸感に包まれる瞬間。

じわじわとテンションを上げていく展開はまさにワイルドピッチの真骨頂で、ピークへと向かう橋渡し的トラックとしても完璧な一曲。フロアの熱気が確実に一段階ギアアップする瞬間だ。

続くDJピエール自身のビッグヒットチューン「Dancin」では一転、哀愁を帯びたサックスのフレーズが、重低音の効いたずっしりとしたビートに乗ってこだまする。

じわじわとテンションを上げていく展開はまさにワイルドピッチの真骨頂。

王道の歌モノハウスと自身のビッグヒット「Dancin」でしっかりとフロアを温めた後は、流れを一気にトライバルハードハウスへとシフト。

Cevin Fisherによる重厚なパーカッションが炸裂する「The Power」に、Ananda Projectの名曲「Glory Glory」をロングミックスが秀逸。

荒々しくドライヴするビートの上に、美麗な「Glory Glory」美しく伸びやかなヴォーカルが絡み合い、スピリチュアルで高揚感あふれる空間を演出。

トライバルハードハウスの中でも特にDJ支持の高いクラシックShunji Moriwaki「Beat The Drum」。

骨太で躍動感あるビートが縦横無尽にフロアを駆け巡り、無機質な女性ヴォイスのサンプルが反復されながら絶妙なアクセントとして機能している。

ミニマルでありながら単調にならず、ピークタイムに向けてじわじわと熱を帯びさせていくようなグルーヴ感が秀逸でパーカッシヴな展開が好きなDJにとってはマストな1曲。

ラストを締めくくるのは、日本のハウスシーンを牽引してきたGTSによる名曲「What Goes Around Comes Around」。

ディスコソウルの女王、Loleatta Hollowayの圧巻のヴォーカルをフィーチャーし、ディスコとハウスの美学を見事に融合させたディスコダブハウスの傑作。


以上、全15曲。

NYCハウスの名門レーベル「Strictly Rhythm」を体現するような、NYの空気感が濃厚に漂う選曲が光る。

中でも、DJピエール本人による「Switch 2001」や「Dancin」といったワイルドピッチ・チューンの使い方は圧巻。

やはり始祖が手がけるワイルドピッチは一味違ってビルドアップの“うねり”が他とは別格、ピークを迎えるまでのグルーヴがじわじわと身体を揺らしてくる。

派手さはない選曲だがこの“じわじわくる感じ”こそ、大人になってからわかるグルーヴ。

若い頃にはピンとこなかったこの「MIX THE VIBE」シリーズが、30代後半になってから妙に沁みてくる。

NYCハウス黄金期の空気を詰め込んだ名シリーズ、今こそ再評価されるべき1枚。

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