ファンキーで図太いビートに絡みつくソウルフルでジャジーなウワモノが特徴的な第二期シカゴハウス黎明期を支えたのがこのDERRICK CARTER。
今回はロンドンに拠点を置くクラブ「Fabric」のイベントをそのままタイトルにした名門DJ MIXシリーズから2011年にリリースされたのがこちら。
Fabric 56
1 JODY ’FINGERS’ FINCH / Jack Your Big Booty(Derrick’s BHQ Remix)
2 ALMOST SEPTEMBER / Love(Derrick’s BHQ Remix)
3 DJ SNEAK / Respect Bonito (Justin Long Remix)
4 NICK GARCIA / Playin ‘ Tricks(Hector Moralez Remix)
5 SCOPE / 8Track
6 CRICCO CASTELLI / First Love
7 OSUNLADE pres NADIRAH SHAKOOR / Pride(Johnny D Remix)
8 IZ & DIZ / Cosmid
9 ROGER SANCHEZ / My Organ
10 SCRUBFISH / Testify To The Soul Provider
11 OLENE KADAR feat D-LOW / Baby Keep It Up
12 CAJIMERE / Percolator(Derrick Carter Bonus Mix)
13 1200 WARRIORS / HardDrum
14 TRIPMASTAZ / Back On My BS
15 PIEK meets STAN GARAC / La Gondola
16 LEGO / Bang Bang
17 ABRAHAM INC / Moskowitz Remix(D’souza BHQ Re-edit)
2001年にリリースした大傑作DJ MIX「ABOUT NOW」から10年経過し、DJとしてのキャリアだけでなくリミキサーとしても確固たる地位を得た2011年のリリースとあって、自身のリミックスワークを多く取り入れ、統一感あるシカゴファンキーハウス選曲。
さらにはLIVE MIXさながらのエフェクター&イコライジングで臨場感あるDJを披露しています。
オープニングはDERRICK CARTERお得意のアカペラから幕開け。
GREEN VELVETの「La La Land」のヴォーカルにシカゴのカルトハウスクラシックJODY ’FINGERS’ FINCH「Jack Your Big Booty」のチープなビートを絡ませます。
この曲は1987年にリリースされたのですが2009年にDERRIC CARTERがRemixした当時未発表音源でなかなかレアな曲です。
このチープなリズムにピコピコアシッドベースが融合し、シカゴハウス特有の気怠いヴォーカルサンプルを乱暴にループさせるあたりDERRICK色がモロに出ています。
このゆる〜い感じなのにダンスフロアの中に引き留めてしまう選曲のうまさを感じさせるのがALMOST SEPTEMBER「Love」。
太い声質のKRS-ONEのラップと柔らかい声質のMC LYTEのラップの掛け合いと、DERRICKの太いビートの相性の良さが際立つ理想的なヒップハウスに仕上がっています。
DJ SNEAKのミニマルなハウス「Respect Bonito」からNICK GARCIAのファンキーハウス「Playin’ Tricks」に飛躍するこのミックスは個人的におすすめな聴きどころ。
アップダウンするファンキーなベースラインに何語か不明な“デベ・ドボ・ブンボボン”という声ネタをループさせ、ドスンとくる図太いキックにハイハットのシャリ音が心地よくダンスフロアを揺るがす要素しかない曲です。
ひと盛り上がりさせた後はジャジーなウワモノハウスで少しクールダウンさせるのがDERRICK CARTERの癖でもあります。
イタリアのベテランCRICCO CASTELLIによるムーディーなサクスフォーンが響き渡る「First Love」。
ややテックハウス寄りのIZ & DIZ「Pride」を経由してROGER SANCHEZのオルガン弾きまくりハウストラック「My Organ」。
70年代ファンクをネタにしたシカゴファンキーハウスSCRUBFISH 「 Testify To The Soul Provider」。
イギリスのビートボクサーD-LOWをフューチャーしたOLENE KADAR「Baby Keep It Up」からシカゴのビートボックス代表と言っても過言ではないGREEN VELVETことCAJMERE「Percolator」。
DERRICK CARTERのすごいところとして
この中盤にかけての選曲のグルーヴから感じ取れるように
ダンスフロアをちょうどイイ温度感でキープする選曲のうまさ!
普通なら中盤で1曲くらいキラーチューンを挟みたくなるところを程よいところでおさえています。
DERRICK CARTERと共にシカゴハウス第2世代を盛り上げたDJ SNEAKと馴染みの深い1200WARRIOUSとDJ SNEAK主宰のレーベル「MAGNETIC」からTRIPMASTAZ「Back On My BS」と立て続けにDJ SNEAK関連が続きます。
このミックスでもあの何語か不明な“デベ・ドボ・ブンボボン”を被せてさらにGREEN VELVETの声ネタも被せるというやりたい放題なミックス。
まるでマーチングバンドのような躍動感あるリズムが印象的なLEGO「Bang Bang」にビッグバンドジャズのような華やかさがあるド派手なABRAHAM INC「Moskowitz」で幕を閉じます。
歌モノが全く登場しないながらも飽きさせないバラエティに富んだ選曲とミックステクニックであっという間の75分。
気になる内容はこちら↓ 5曲目がおすすめです。
嬉しいことにアップルミュージックだとDERRICK CARTERのLIVE DJ MIXが聴くことができます。
特におすすめのDJ MIXを紹介していますのであわせてどうぞ。