大箱映え仕様のハードミニマル選曲で疾走する石野卓球「DJF400」

石野卓球監修によるDJ MIX CDのバイブル「MIXUP」の後継シリーズ「DJF」!

1998年リリース

1 TAKBAM / Elektronische Tanzmusik

2 THOMAS SCHUMACHER / Wig Out Into

3 DJ BAM BAM / Bang Those Drum

4 Paul / A PAUL Cubensis

5 F.E.O.S VS M/S/O / Ideas & Experiences

6 SURGEON / Box Version 2

7 WILLIAM PAYEUX / A-1

8 DJ RUSH / The Breaks

9 JAMES RUSKIN / The Divide

10 SIDESTEPPER / Highjack

11 .KOTA / Theme(Dog Teacher)

12 Nico Awtsventin / Funx Patterns

13 Shake A.K.A. ANTHONY SHAKIR / Frictional Beat No.4

14 TRAXMEN / Still Bangin

15 石野卓球 / Supreme

16 POPACID / Acid Bonny

17 電気グルーヴ / Asunaro Sunshine(Takkyu Ishino Remix)

18 石野卓球 / Polynasia

19 JOHANNES HEIL / Enter Club

20 DJ BAM BAM / The Record Spinz

21 HUCKER / Just Play

22 TECHNASIA / Future Mix

23 田中フミヤ / Phase

24 SPACE / Save Your Love For Me

25 SHADOWMAN 2 / Bionic Space Beats


テクノDJのバイブルとも言えるMIX-UPシリーズから、世界的に活躍するアーティストにフォーカスした「DJF」シリーズが始動。

第1弾・ウエストバム、第2弾・カール・コックスに続き第3弾では石野卓球が登場。

本作は、前作のMIX-UPで見せたカラフルでキャッチーな選曲から一転し、大箱で映えるハードミニマル路線に特化した内容となっている。

今回は、冒頭から早くも聴きどころが登場!

石野卓球とウエストバムによるユニットTAKBAM「Elektronische Tazmusik」のアカペラループをTHOMAS SCHUMACHERの「Wig Out Into」に約2分間にわたり重ねるロングミックスを披露。

無駄を一切排した構成、ストイックに突き進む音の構造美はまさに当時のWIREなど大型フェスでのプレイを彷彿とさせる仕上がりにグッとくる。

DJ BAMBAM「Bang Those Drum」が登場すると、ミックスは一気にアグレッシブなギアへとシフト。

骨太なキックがズンズンと突き上げるように響き、思わず拳を振り上げたくなる高揚感が全開。

まさにハードミニマルの快感を直撃する展開。

続くは“テクノ界の神童”ことSURGEONによる鋼鉄の一撃。

ダークでビターな質感が支配する硬質なミニマルトラックは、音数の少なさが逆に深みと迫力を引き出しており卓球氏の選曲センスと構成力が光るパート。

シカゴ・テクノの重鎮DJ RUSH「The Breaks」が投入されるとフロアの熱量は一気にピークへ。

まさにRUSH節全開のフロア・ボム。

その勢いを経てミックスは一転してJames Ruskin「The Divide」をミックス。

よりディープで緻密な展開へとつなぎ、卓球氏の手腕が光る、見事な緩急と流れの構築。


石野卓球のセンスが光る疾走感と跳ねたリズムの快進撃

このDJ MIXからピックアップされた4曲を収録した12インチ・シングルにも収録された.KOTA「Theme(DogTeacher)」はミニマルテクノの美学を極限まで突き詰めた一曲。

展開らしい展開もなくひたすら直進する硬質ビートが持続するストイックで扱いの難しいトラックを、1分近いロングミックスで自然に溶け込ませ流れに熱量をヒートアップさせていく。あげさせるあたりは、

そしてここからは卓球節全開のリズムシフト。

跳ねるようなリズムが心地よくフロアを揺らしはじめるANTHONY SHAKIR「Frictional Beat No.4」は、お祭りのように陽気なパーカッシブ・グルーヴが全開。

続くTRAXMEN「Still Bangin」はシカゴ・ゲットーハウスらしいスカスカなビートで絶妙な抜け感を演出。

そしてこの陽気なテンションにアシッドなスパイス効かせたPopacid「Acid Bonny」からの電気グルーヴのライブ定番曲「Asunaro Sunshine」の石野卓球によるリミックス。

アシッドなベースラインに乗せて「アスナロサン」と繰り返すヴォーカルループが絶妙にハマりフロアをピークタイムへ誘うこのリミックスはストーリミングにもないレアトラック。

そして、いよいよ本作の最大のピークが訪れる。

投入されるのは石野卓球の代表的フロアキラーアンセム「Polynasia」。

日本的な要素をテクノに巧みに融合させたこの曲は、和太鼓を彷彿とさせる土着的なビートとトライバルかつエネルギッシュな展開が特徴。

ミックス全体のクライマックスを高らかに彩る一曲として強烈な印象を残す。


全19曲を駆け抜けてきたこのDJ MIXもいよいよラストスパート

終盤で登場するのは、卓球ファンにはお馴染みのボイスサンプルが炸裂するDJ Bam Bam「The Record Spinz」。

重厚なキックに対してスカスカとしたポコポコ系の軽快なリズムが絶妙なバランスで絡むThe Hacker「Just Play」。

一見無機質でストイックな展開ながら奇天烈なビートが不思議な中毒性を生み出している。

ハードミニマルな展開のなか、独特の遊び心と抜け感を与えるアクセント的な1曲。

そして、当時のテクノシーンで最前線を走っていたTECHNASIAの代表曲「Future Mix」。

重厚なグルーヴと洗練された音作りが光るこのトラックに、盟友・田中フミヤによる疾走感あふれるハードミニマル「Phase」を巧みにミックス、まさにこのMIXのクライマックスにふさわしい展開。


この曲でフロア全体がオールハンズアップ!

70年代歌ものエレクトロ・ディスコSpace「Save Your Love For Me」は、どこか懐かしくも新鮮なサウンドで多幸感を一気に引き上げる名曲。

エレクトロなシンセと温かみのあるボーカルが絶妙に絡み合いまさにピークタイムの祝祭感を演出。

踊らずにはいられない空気がフロアを包み込む。

この曲でフロア全体がオールハンズアップ!!

多幸感あふれるSPACEによる70年代歌物エレクトロ・ディスコ「Save Your Love For Me」。

フロアが多幸感に包まれた余韻を残しながらラストは攻撃的な変則ブレイクビーツShadowman 2「Bionic Space Beats」でに着地。

ハードミニマルで駆け抜けた本編のフィナーレにひねりを効かせた持ってくる卓球氏のセンスが輝く。


以上、駆け抜けた全25曲。

メジャーレーベルであるSONY MUSICからここまでストイックなハードミニマル主体のDJ MIXがリリースされていたこと自体、今振り返っても驚き。

中でもこの「DJF400」は石野卓球のMIX作品の中でも個人的に最も聴き込んだ1枚。

国内最大級の屋内レイヴパーティー「WIRE」へとつながるレイヴ志向かつフロア直撃なセレクションは、当時の空気感をそのまま真空パックしたようなテンションの高さ。

今聴いてもまったく色褪せていない

卓球さんのDJ MIXの中でも一番聴いたのがこのDJF400。

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