カラフルでキャッチー、卓球節全開のDJ超特急!自身初のDJ MIX CD「ミックスアップ Vol.1」

1995年リリース。

電気グルーヴがテクノ・アーティストとしての地位を確立した名盤「Vitamin」リリース後に発表され、日本の音楽シーンでテクノがより身近になった頃にリリースされたDJ MIX CDの金字塔「ミックスアップ」シリーズの記念すべき第一弾!

石野卓球 / MIX-UP Vol.1


幕を開けるのは、当時卓球氏が絶賛していたテレビ音源のコラージュ・ユニットDUMDUM TV。

そこから自然に繋がるのは、マイク・ヴァン・ダイクの別名義、Mijk’s Magic Marble Box「Gamer’s Night」。

タイトルどおり、ゲームサウンドのようなカラフルな音色使いの疾走感あふれるこちらは当時未発表曲だった石野卓球REMIX!

続いて登場するのはJOEY BELTRAMによるテクノ・クラシックス「VOYAGER」

90年代のインダストリアルで硬質なテクノを象徴する1曲。

まるで鼓笛隊が連打するようなスネアが小気味よくループする、シカゴ・ゲットーハウスの名手DJ FUNKによる「Knock Knock」。

無駄をそぎ落とした構成のなか、連打されるノック音のようなリズムが執拗に迫り、フロアではいつの間にか身体が反応してしまう強烈な引力を放つ。

Felix da Housecatがプロデュースを手がけたTHREE MATTKATT COURTSHIP「Da Mindfuck」は、じっとりとしたエフェクトやシンセのうねりが重なり、不穏さと快楽が絶妙に交錯。

この曲を皮切りに、ミックス全体もミニマルでディープなゾーンに突入。


ここからはまさに圧巻の展開。

BASIC CHANNEL〜HARDFLOOR〜MAURIZIOと続く流れは、まるでミニマルテクノによる組曲のような構成美。

硬質で霧のようなダブ・サウンドからアシッドのうねりを伴ったピークへ誘い、そして黒く深く沈み込むようなグルーヴへと流れていき、選曲もミックスもすべてが計算され尽くしているようでまったく無駄がない。

特にHARDFLOOR「Acperience 5」はこのMIX CDを通じて再評価されたと言っても過言ではなく、当時どれだけ多くの人がこの一曲をプレイしたことだろう。

単体で聴いても名曲だがこの3曲の流れで聴くことでより一層その魅力が引き立つ。

このミックス作品の醍醐味がここに凝縮されている。

JEFF MILLS「In The Bush」から一気にテンポアップし、ミックスはピークタイムへ突入。

この疾走感、ただ速いだけではなく、緊張感と興奮が同時に押し寄せるようなドライブ感がたまらない。

ジャーマンテクノの名門Ladomat2000からの2曲は、まさに90年代の石野卓球らしさ全開。

カラフルでキャッチー、メロディの抜け感や音色のポップさは、当時の無機質なミニマル勢とは一線を画すセンス。

どちらも今聴いても古びないおすすめトラック。

テクノDJにはお馴染み、シカゴ・ゲットーハウスの名曲 TRAXMEN「F***n Sucking」。

荒々しいサンプリングと連打されるループは、扱いを誤るとただの過激トラックに堕ちるが、このミックスではまさに“宝石”のように輝いている。

タナカフミヤが主宰したレーベル、TOREMA Recordsから「Mickey House」と「Micro 2」が連続で登場。

どちらも初期フミヤならではのフロア直撃型ミニマルで、現在のストイックで抽象的なプレイスタイルからは想像しにくいほどアップリフティングな仕上がり。

特に「Mickey House」は、リズムの跳ね感と細かなエディットがクセになる一曲。

続く「Micro 2」はよりタイトに絞られた音像ながら、グルーヴはむしろ開放的。

どちらも90年代後半の空気感を色濃く映し出した、TOREMA全盛期のエネルギーを感じさせるミニマルトラック。


そして、このMIXのハイライトといえばやっぱりこれ――UP & DOWN(Rhythm Masters)!

クセになるオルガンループに、スキャット調のヴォイスサンプルが重なっていく多幸感全開の1曲。

元はBPM120前後のトラックだが、ここではかなりのハイピッチでぶっ飛ばしていて、完全にテクノアンセムに変貌してる。

フロア映えも最高で、WOMBクラスの大箱で爆音で浴びたら絶対にアガるやつ。

グルーヴと華やかさのバランスが絶妙で、卓球さんのポップセンスが炸裂してる選曲。

まさにピークタイム仕様。

デビュー曲「Forerunner」で一躍注目を集めたベルギー発の2人組ユニットNATURAL BORN GROOVES。

「Forerunner」は90年代後半〜2000年代初頭のフロアでヘビープレイされたキラーチューン。

疾走感のあるグルーヴとエッジの効いたフィルター使いが特徴で、当時のハードハウス〜フィルターハウス好きにはたまらない1曲。

そしてラストを飾るのは、石野卓球自身による当時未発表だった楽曲「I Thought 3, But We’re 4 In Fact」のリミックス・ヴァージョン。

最後の最後で“卓球節”が全開に。

駆け抜けるような全20曲。

「ミックスアップ」シリーズの中では比較的曲数は少なめだけど、そのぶん1曲ごとの存在感が際立っている。

シリーズの中では、もっとも“聴きやすさ”があり、テクノ初心者やDJミックスCDをあまり聴いたことがない人にもスッと入ってくる内容。

いわば“入門編”としてもぴったりな1枚。

MIX UPの後続シリーズDJ-Fシリーズ↓

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