京都市の北東に位置する左京区、特に修学院や岩倉などの洛北エリアに住んでいるとどこにいようが視界に入ってくるのが比叡山。
その比叡山には世界文化遺産でもある天台宗総本山の延暦寺がある。
延暦寺といえば白川上皇の言葉とされる「天下三不如意」の「賀茂川の水、双六の賽、山法師(比叡山延暦寺の僧兵」が悩みの種にされたり、織田信長には延暦寺の伽藍を焼き討ちされたりと歴史の教科書によく出てくるので知っている人は多いはず。
延暦寺は山内に東塔、西塔、横川と区分されていて、見どころは東塔エリアにある1200年燃え続ける「不滅の法灯」がある延暦寺の総本堂にあたる根本中堂。
あと、バスで奥深い山道をひたすら進んだ先にある横川エリアの横川中堂も紅葉の時期には美しい景観が見るものを圧倒させる。
ほかにも、比叡山延暦寺へ向かうケーブルカーやロープウェイが気分を高揚させ、ハイキングも兼ねた観光ができるので強くおすすめしたい。
比叡山は京都盆地の東側にある山々の総称「東山三十六峰」のいちばん北側に位置し、標高が200m〜400mが多くを占めるなか、比叡山は848mもあるから京都市民でなくとも見分けることが容易。
低い山々が連なるなか、二山分くらい背の高い比叡山は京都の象徴でもあり、遠く離れた場所からでもその雄大な姿を確認することが可能だ。
そんな比叡山を借景に取り入れた庭園が京都にはいくつかある。
特に有名なのが京都市左京区の岩倉にある圓通寺と京都市北区西賀茂にある正伝寺。
あまりにもスッキリした秋晴れが心地よかったから自転車の乗って訪れてみることにした。
外人さんも無言で佇ずんでしまうくらい壮大なパノラマ絶景「圓通寺」
京都市左京区岩倉にある圓通寺は電車やバスで行くにはややアクセスが困難だから、地下鉄国際会館駅からタクシーで行くのが賢い選択。
健脚に自信がある方には出町柳駅でレンタサイクルして行くのもおすすめ。
ラーメン街道がある一乗寺や修学院、宝ヶ池公園なども経由するから道中飽きがこないし距離も許容範囲。
圓通寺はのどかな風景が続く住宅地の中にある。
庭園のある書院に入るとお香の匂いがふんわりと漂い、控えめな日差しに心地良い風と耳触りの良い鳥のさえずり・・・
5感をフルに活用して心をリラックスさせるには最高のロケーション。
この時は自分以外に外人さんが4名ほどいたが、私語やシャッター音もなくそれぞれ静かに雄大な景色を堪能していた。
インフォメーション
圓通寺
住 所:京都市左京区岩倉幡枝町389
拝観時間:10:00〜16:30(4月〜11月)、10:00〜16:00(12月〜3月)
休 観 日:毎週水曜日
拝 観 料:500円、小中学生300円
デヴィッド・ボウイも愛した枯山水庭園「正伝寺」
圓通寺から自転車で約20分程度の場所にあるあのロックスターデヴィッド・ボウイが愛した庭園として有名な正伝寺へ。
場所は洛北西賀茂にあり、創建は鎌倉時代で本堂は伏見城から移築された重要文化財。
方丈の広縁の天井には関ヶ原の戦いの直前に伏見城に立籠った徳川方の重鎮鳥居彦エ門元忠以下千八百余名の内三百八十余名が落城の際に割腹し果てた廊下の板を天井とした「血天井」も有名。
その方丈の前に広がるサツキの緑と白砂のコントラストが眩く、青い空に浮かび上がる比叡の霊峰を取り入れた借景の眺めが見事。
正伝寺は外人さんよりも日本人観光客が多かったが、自分含めて6人程度だったので存分にこの雄大な景色を楽しむことができた。
圓通寺でも感じたが遠くにある比叡山までマンションやビルなど景色を妨げる要素がないのも京都ならではの凄みではないだろうか。
インフォメーション
眺める場所によって印象が変わる比叡山。
今回は圓通寺と正伝寺という京都を代表する借景庭園で比叡山を眺めてみた。
景色としては見るだけなのだが、そこに匂い・風・音・光も加わることで5感をフル活用したヒーリング体験ができた
京都にしかない眺めを特別な場所から堪能してみてはいかがだろうか。