1985年より音楽活動を始め、現在でも現役でフロアを熱狂させ続けているハウス界のレジェンドDJ EMMAが2003年にリリースしたMIX CD。

1 Cosmos「Take Me With You」
2 E-MAN「Caves of Altimira(Michael Moog Club Remix」
3 Klubfilter「illumination」
4 King Unique「Sugarhigh」
5 Montilla「All Night」
6 DJ Gregory「Tropical Soundclash」
7 Mondo Grosso「BLZ」
8 Jest Funk「Stellar Funk」
9 Gypsy「Funk De Fino」
10 Malawi Rocks「Sundone」
11 Sussie 4「Suite Tropical」
12 Groove Armada「Lovebox」
シリーズ第8弾となる本作は久しぶりの1枚組仕様で全12曲の幅広いジャンルを凝縮した内容。
熱狂的なフロア向けというよりはメロウで聴かせるハウスを中心にセレクトされており心地よいグルーヴにじっくり浸れる仕上がり。
今回はそんな「EMMA HOUSE 8」から、ラテンやメロウな要素が光る印象的な楽曲をピックアップして紹介。
E-MAN / Caves of Altimira(Michael Moog Club Remix)
シティポップ好きからも根強い支持を受けるスティーリー・ダンの名曲「Caves of Altamira」を極上の耳触りで包み込んだメローヴォーカルハウスに仕立てた一曲。
原曲の洗練されたコード感とハウスの柔らかいビートが絶妙に融合していてまさに逸品。
そして、この曲から続く「Illmination」への流れがまた秀逸。
あまりにドラマティックな展開に、何度聴いてもしびれてしまう。
KLUBFILTER / Illmination
日本人好みの哀愁を帯びたメロディーが壮大なスケール感でフロアを包み込むフレンチフィルターハウスの大ヒットトラック「Illmination」。
本来なら終盤にかけてドラマチックな展開をつけるために使われるような一曲をあえて前半に配置するという大胆な選曲。
KING UNIQUE / Sugarhigh
UKの名門レーベル “JUNIOR” から数々のフロアヒットを放ってきたKing Uniqueによるビックヒットアンセム。
そんなピークタイム仕様のキラーチューンを前半にさりげなく差し込んでくるセンスはさすが。
DJ GREGORY / Tropical Soundclash
ファンキーなカッティングギターにトライバルなリズムとヴォイスループが絶妙に絡む、DJたちに長く愛され続けた定番トラックDJ Gregory「Tropical Sounudclash」。
シンプルな構成と音数の少なさがゆえにグルーヴの転換点としても使い勝手がよく、フロアの流れに変化をさせたいタイミングで多くのDJがヘビープレイ。
クラブでこの曲が流れると、「次の曲でキラーアンセムがかかるのでは?」とフロアに緊張感と期待感が走る1曲。
MONDO GROSSO / BLZ
まさに常夏!ブラジリアンハウスの代表曲にして、当時どこのクラブでも耳にしたビッグアンセム。
情熱的なギターフレーズが流れた瞬間、フロアの空気が一変するあの高揚感──あの“激震”は今でも鮮明に思い出せる。
本来なら終盤のピークに配置したくなるようなキラーチューンをあえて中盤に持ってくるセンス。
この選曲バランスこそが本作のお値打ちポイント。
JESTFUNK / Stellar Funk(Lazzarro Shoes Remix)
おしゃれラウンジジャズの名門レーベル、イタリアのIRMAから登場したJESTOFUNKによるパーカッシブなグルーヴが光る「Stellar Funk」。
乱れ打ちのような重厚なパーカッションがフロアにじわじわと熱を加えていく。
次曲「Funk De Fino」とのロングミックスで、自然にテンションを持ち上げる流れも秀逸。
GYPSY / Funk De Fino
1994年リリースのハウスクラシックGYPSY / Funk De Fino。
チープさが逆に味になっている軽快なリズムと煽るように繰り返されるシンセループが印象的。
派手さはないものの、フロアの空気をうまく整えてくれる絶妙なクールダウントラックとして、今なお多くのDJに重宝されている。
SUSSIE 4 / Suite Tropical
モンドグロッソを彷彿とさせるブラジリアン〜ラテン路線の流れを、この一曲で見事に回収。
清涼感あふれる女性ヴォーカルが心地よくトランペットソロがアクセントとなって楽曲にリゾート感をプラス。
まるで夏の夕暮れ、海辺でゆったりと過ごす時間にぴったりのラテン・ボーカルハウス。
GROOVE ARMADA / Lovebox
UKダンスミュージックシーンの巨頭といえば、ケミカル・ブラザーズ、ベースメント・ジャックス、そしてこのグルーヴ・アルマダ。
DJデュオでありながらライブはドラムやホーン隊を含むバンド編成で展開され、最大16人編成という圧巻のパフォーマンスで知られる。
そんな彼らの代表作『Lovebox』からタイトル曲にしてフロアを一気に包み込むビッグアンセム「Lovebox」をラストに配置。
大箱映えするダイナミックな展開で、ミックス全体の締めくくりにふさわしい感動的なフィナーレを演出。
いかがだっただろうか。
DJ GregoryからMondo Grossoへの流れは当時思わず真似したくなったほどお手本のような見事なミックス。
序盤からいきなりクライマックスのような選曲でぐっと引き込んだかと思えば、ラテンハウスへと自然にグルーヴをシフト。
中盤にはジャジーな質感、終盤には大御所によるビッグアンセムと、わずか70分という制約の中に多彩な展開を詰め込んでいる。
2枚組構成が多いEMMA HOUSEシリーズの中でも、この1枚組ならではの凝縮感と幅の広さは特筆すべきポイント。
さまざまなスタイルを味わえるエッセンス豊富なミックス。
↓記念すべきシリーズ1作目!