2001年、イギリス南部のリゾート地ブライトン・ビーチで開催された大規模DJパーティーを収録したライブDJ MIX CD。
潮風と歓声が入り混じるビーチ特有の高揚感の中、疾走感あふれるハウス・トラックの選曲で陽が沈むにつれてテンションもギアを上げていくピークタイム仕様の仕上がり。

1 Underworld/Fatboy Slim / Born Slippy・Right Here Right Now
2 Kid Creme / Austin’s Groove
3 Scanty Sandwich / Southern Thing
4 Minimal Funk / The Groovy Thang
5 Santos / Pray
6 The Clumps / The Talk
7 Basement Jaxx / Where’s Your Head At ?
8 Jark Prongo / Rocket Bass
9 (Love)Tattoo / Drop Some Drums
10 Black & White Brothers / Put Your Hands Up
11 Santos / 3-2-1 Fire!
12 Fatboy Slim / Star 69
13 Raven Maize / The Real Life(Fatboy Slim Mix)
14 Fatboy Slim / Sunset
オープニングからしてファットボーイ・スリム節全開。
UNDERWORLDのマスターピース「Born Slippy」のあの印象的なシンセリフに、FATBOY SLIM自身の代表曲「Right Here Right Now」のボイスサンプルを巧妙にマッシュアップ。
すでに歓声が巻き上がる展開から、ファンキーディスコハウスKID CREME「Austin’s Groove」へのミックスが見事。
続く3曲目にはFATBOY SLIMのSkintレーベルの秘蔵っ子、SCANTY SANDWICHによるファンキーでアップリフティングなベースラインがクセになる中毒系ファンク「Southern Thing」をミックス。
序盤の選曲ですでにビーチのテンションを支配している。
当時のフロアを彩ったフィルターディスコハウスMINIMAL FUNK「The Groovy Thang」。
ギラついたカッティングギターにフィルターがぐいぐいかかって、アップリフティングな展開がクセになる、どこかDAFT PUNKを彷彿とさせるローファイなファンクネスも魅力。
この時期のFATBOY SLIMといえばSANTOSをヘヴィプレイ。
太陽が沈みかけたブライトン・ビーチでにピッタリハマる大箱ならぬビッグビーチ仕様のキラートラック「Pray」。
そして中盤のピークを支配するのがBASEMENT JAXXの超ド級クラッシャー「Where’s Your Head At?」。
フロアのテンションを強引に引き上げる凶暴なエレクトロパンク・アンセムでUKガレージ~ビッグビート~ブレイクビーツを縦横無尽に駆け抜ける、まさにBASEMENT JAXX節全開の一曲。
重低音の効いたファンキーベースと疾走感あるリズムがクセになるJark Prongo「Rocket Bass」。
BASEMENT JAXXで暴動状態になったビーチをクールダウンさせるにピッタリなテックハウス。
ここから後半はFATBOY SLIMお得意のお祭りタイム突入!
タイトル通りドラムをガツンと落としてくるストレートなトラック(Love)Tattoo「Drop Some Drums」。
重く太いキックにロウでタフなパーカッションが絡む、まさに“ドラムで押す”系のファンキー・ハウス。
このトライバルなビートに、ひたすら「Put Your Hands Up」と連呼するボイスサンプルをロングミックスさせ、とにかくフロアならぬビーチを煽る。
そしてビーチが最高潮になったところでぶっ放すSANTOS「3 2 1 Fire」の破壊力といったら異次元のレベル。
ビーチだからこそ生まれる圧倒的な熱量!
そしていよいよクライマックスを飾るのが、FATBOY SLIM「Star 69」。
硬質なキックとミニマルなビートの上に「They know what is what, but they don’t know what is what…」という中毒性のあるヴォイスサンプルが延々ループ。
派手な展開は一切なしで、ただただビートとフレーズで押し切るハードハウス仕様、ファットボーイらしい“騒がしさ”は控えめだが、終盤のピークトラックにふさわしい1曲。
ラストを飾るのはFATBOY SLIM「Sunset」。
ジム・モリソン(The Doors)の「Bird of Prey」の妖しく浮遊感のあるヴォーカルを大胆にサンプリング。
ダウンテンポなビートに乗せて、夕暮れ時のビーチを連想させるようなメロウでどこか物悲しいムードが広がっていく。
これまでアゲアゲのハウスやブレイクビーツでフロアを揺らしまくってきた流れから一転、すべてを包み込むようなエンディング。パーティーの終わりと、次の始まりを予感させるような静かな余韻を残して幕を閉じる。
爆音と歓声の余韻に染みる、まさに“サンセット”にふさわしい締めの一曲。
ファットボーイ・スリムのロマンチストな一面が垣間見える名ラスト。
ファットボーイ・スリムにしては珍しく、全体を通して統一感のあるアゲアゲな選曲。
今回はハウスを中心にフィルターディスコ、トライバル系まで幅広くプレイしながらも、ビーチというロケーションということから終始テンション高めではあるものの、派手すぎず聴き心地が良い。
気になる人はぜひチェックしてみては。
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ファットボーイの1st DJ MIX CD