90年代初期のテクノ黎明期の貴重なDJ MIXシリーズ「X-MIX」をリリースしていたK7。
そのK7から「X-MIX」の後続シリーズとしてテクノだけでなく、ハウス・クロスオーバー・チルアウトなど多様性のあるクラブミュージックにもフォーカスを当てたシリーズが「DJ KICKS」。
そのDJ KICKSの中から、2001年にリリースされ、フューチャージャズ/クロスオーバー選曲のDJ MIXでは名盤と名高いTRUBY TRIOのDJ MIXを紹介します。
TRUBY TRIO / DJ KICKS
- CONJURE / General Science / Ish / Papa LaBas
- TRUBY TRIO / High Jazz
- BLOCK 16 / Find An Oasis
- AFRICANISM / Edony Clap Your Hands
- MATTHAUS / Scat Box
- SLOWSUPREME / Granada
- SEQUEL / Upsolid
- AFRONAUGHT / Transcend Me
- KOROVA / Some People(Waianae Remix)
- MODAJI / One And The Same(Jazztronik Brushed Up Remix)
- TIM HUTTON / Colours(Free Form Five Remix)
- VOOM:VOOM / Ginger & Fred
- TRUBY TRIO / Galicia(Zero db Remix)
- LEHNER & BIEBL / Toronto
- FAUNA FLASH / Tel Aviv
このジャケットに見覚えがある方が多いのではないでしょうか。
このタイトルは輸入盤のDJ MIX CDの中ではけっこう売れました。
TRUBY TRIOはドイツを代表するクロスオーバーユニット。
フューチャージャズの名門レーベルCOMPOSTからリリースしたJOSEPH MALIKをフィーチャーした「High Jazz」が大ヒット、レーベルメイトのJAZZANOVAと共にクラブジャズシーンを盛り上げた功労者でもあります。
サンプリングや打ち込みではなく本格的な生演奏と控えめなエレクトリックの要素、そして程よくダンサンブルなのでクラブジャズ系DJだけでなくディープハウス系DJにも人気の高かったこのTRUBY TRIO。
特に本作では2000年初頭に4HEROやBUGZ IN THE ATTICらが一大ムーブメントを巻き起こしたウエストロンドン/ブロークンビーツの魅力が存分に詰まっています。
それではミックスが難しいフューチャージャズ/ブロークンビーツを巧みなテクニックとセンスで聴き手を惹き込む本作の内容をご紹介します。
まず冒頭を飾るのは1988年作でNYの鬼才パーカッショニストKIP HANRAHANと詩人ISHMAEL REEDによるユニットCONJURE。
軽快なパーカションにリズミカルでキャッチーなピアノとギターの掛け合いにISHMAEL REEDの語りが独自の世界観が構築されています。
本格的なジャズ路線かと思わるオープニングからTRUBY TRIOのヒット曲「High Jazz」が序盤で早くも登場。
ブロークンビーツ/フューチャージャズとは?聞かれたらまずこの曲を紹介します。
序盤にしてピークアンセムの登場!
テンポ合わせが難しいブロークンビーツを見事にミックス、洗練された展開がお見事なBLOCK16「Find an Oasis」。
BPM126前後の緩やかなディープハウスにアフロビート風味のバウンシーなドラムがリズムを刻み、ドラマチックなストリングスが高揚感を煽ります。
癖になるトライバルなパーカッションに不似合いな女性の語りが入るAFRICANISM「Edony Clap Your Hands」から男性のトライバルヴォイスパーカッションが炸裂するMATTHAUS「Scat Box」への繋ぎは曲の境目が全く違和感ない見事なミックス。
この清涼感溢れるエレクトリック・ピアノの調べは聴いた人は多いはず!
フランソワ・ケヴォーキアンもヘヴィ・プレイしていたブラジリアン・フュージョン・ハウスの大傑作SLOW SPUREME「Granada」。
この曲を聴くだけで体感温度がマイナス2℃になります。
ジャジーなクロスオーバーからブロークンビーツ〜トライバルな曲からジャジーハウスを経由してエレクトリック・ブロークンビーツの代表曲AFRONAUGHT「Trancend Me」が登場。
高揚感を誘うスペーシーなシンセとソウルフルな女性ヴォーカルがまさにウエストロンドンサウンド。
今聴いても刺激的なハイテクサウンド、カッコイイです。
このDJ MIXのピークアンセムはこの曲MODAJI「One and the Same」のJAZZTRONIK REMIX。
美メロで爽快なアップリフティングなハウス。
「samurai」で大ブレイクする前の野崎良太氏の隠れた良質リミックスワーク。
生音主体なサウンドからエレクトリックなサウンドを経由してこの選曲はセンスのです。
爽やかな余韻を崩さない納涼系DEEP HOUSEが続きます。
ギター、エレクトリックピアノ、フルート、ウッドベースなど生バンドの演奏が冴えるジャズヴォーカルハウスジャズTIM HUTTONの名曲「Colours」をFREEFORM FIVEがREMIX。
ジャコ・パストリアスやガボール・ザボーなどジャズネタをふんだんに使用したTRUBY TRIOの渾身のデビュー作「Galicia」をZERO dbが硬質なハードテクノブレイクビーツにアレンジ。
今までの心地よい展開に刺激を与える選曲です。
ラストは飾るのはTRUBY TRIOのメンバーであるCHRISTIAN PROMMERとROLAND APPELによるFAUNA FLASH「Tel Aviv」。
清涼感漂うフュージョン・ハウスで終盤のサックスのメロディーが哀愁を誘います。
以上、全15曲。
ウエストロンドン/ブロークンビーツに生音系フュージョン・ハウスを織り交ぜ、なんとも心地よい選曲のDJ MIXです。
2000年代初めの洗練されたクロスオーバー系DJ MIXではピカイチの仕上がりではないでしょうか。
20年振りに改めて聴きましたがDJ MIXが上手いですね。
APPLE MUSICで聴くことができますのでぜひ聴いてみてください😀
オールミックスの金字塔「Organ b. SUITE」↓