MIX CDの名盤として語り継がれる「MIX UP」シリーズ全タイトルレビュー!

全5タイトル

テクノDJのバイブルともいえる今聴いても色褪せないDJ MIX CDシリーズの金字塔

石野卓球監修のもと1995年から1997年までにリリースされた当シリーズには、当時のトップDJたちが個性を爆発させた選曲とミックスが詰まったDJの歴史的価値ある作品。

その中でも特筆すべきは、ジェフ・ミルズと田中フミヤによるライブDJ MIXの実録盤。

リアルタイムでターンテーブル3台とリズムマシンを駆使し、限界への挑戦とも言えるテクニックが随所に光る。

今ではPC環境でそれっぽくできてしまうが、このDJ MIX作品はごまかしの効かない“現場の空気と緊張感”がそのまま詰まっているのが最大の魅力。

また、デリック・メイのDJ MIXではスクラッチや逆回転、巧みなクロスフェーダー捌きを生々しく、そして時にはハラハラするほどギリギリの境界を攻めてくる。

全てのタイトルでそれぞれ聴きどころが満載であり、30年経った今聴いてもこの作品の底知れぬ魅力には改めて唸らされる。

どのタイトルにもそれぞれ強い個性と聴きどころがあり全編にわたって濃密な内容。

リリースから30年経った今でも選曲のセンスやミックスの完成度には驚かされる。

時代を超えて響く、まさにテクノDJ MIXの金字塔とも言えるこの5タイトルのレビューをまとめて紹介。

石野卓球 ミックスアップ VOL.1

カラフルでキャッチー!卓球節全開のDJ超特急MIX!

今も第一線を走る石野卓球氏による遊び心に満ちた選曲で疾走するDJ MIX。

勢いある前半の展開から、BASIC CHANNEL〜HARDFLOOR〜MAURIZIOといった深みのある選曲へのシフトが絶妙。

終盤にはWIREを彷彿とさせるキラートラックを投下し最後まで飽きさせないセンスが光る。

キラートラック↓

石野卓球氏初のDJ MIX CDであり、キャリアの出発点を刻んだ1枚として当時のテクノシーンの空気感を感じることができる内容になっている。

ジェフ・ミルズ ミックスアップ VOL.2

1995年10月28日深夜3時の衝撃!!

1995年10月、新宿リキッドルームで行われた伝説の一夜をライブ収録。

歓声が飛び交うフロアの臨場感も含め全編通して鳥肌モノの内容。

ターンテーブル3台+リズムマシーンを駆使し、スクラッチ、レコード2枚使いなど異次元のテクニックが満載の怒涛の展開——まさに“魔術師”の名にふさわしい圧巻のライブ。

Segment1の1曲目から7曲目のBELLSまでの約10分間のMIXは筆者がすごいと思うMIXベスト3位に君臨!

自身のアンセム↓を失敗の許されないライブミックスで2枚使いしながらスクラッチまでかます強メンタルに脱帽!

ケン・イシイ ミックスアップ VOL.3

ケンイシイの音楽遍歴を辿るDJ旅行!ジャンルレスな選曲で繰り広げられる音楽ジャーニー!

ケンイシイによる選曲で80年代エレクトロからデトロイト、エクスペリメンタル、ドラムンベースまでジャンルを横断しながら構築する音楽の旅。

ハードミニマルが多い「MIX-UP」シリーズの中では異色とも言えるリスニング寄りの一枚。

ジャンルはバラバラでも全体を貫く統一感あるグルーヴとストーリーに圧倒される。

選曲・構成ともに、まさに“DJケンイシイ”の真骨頂。

この曲↓がどんなミックスをされるのか想像できるだろうか!?

田中フミヤ ミックスアップ VOL.4

1996年10月大阪での熱狂をそのまま真空パックしたライブDJ MIX!

筆者にとってまさにDJ MIX CDのバイブル。

ジェフ・ミルズの「MIX-UP」と同じくライブ録音&トラックマーク1つという硬派な仕様で当時CDウォークマンでの再生には苦労した記憶も鮮明に覚えている。

今では貴重な田中フミヤ氏のバッキバキなハードミニマルテクノ選曲でのMIX。

この時代のフミヤを体感できる貴重な1枚として、今も色褪せない傑作。

ジェフ・ミルズへのアンサーなのか「STEP TO ENCHANTMENTMENT」を2枚使いで応戦。

E-DANCERの名曲「PUMP THE MOVE」のミックスで展開・タイミング・グルーヴ感すべてが完璧。

これを超えるミックスはいまだに出会えていない。

デリック・メイ ミックスアップ VOL.5

デトロイトテクノの首領によるファンキーテクノDJ MIX!

デリック・メイによるこのミックスは、ジェフ・ミルズに勝るとも劣らないテクニックと選曲センスに満ちている。

とりわけ、1曲目から「French Kiss」までの序盤の展開は、筆者がこれまでに聴いた中でもベストMIXの第1位に挙げたいほど。

難易度の高いトラック同士の繋ぎも軽やかにこなしグルーヴ感をまったく損なうことがない。

そして、ジャンルに縛られず、シカゴハウスやUKハウス、デトロイトテクノまで自在に行き来する懐の深さも魅力。

ファンキーな立ち上がり、中盤のシカゴよりなビート感、そして後半のデトロイトテクノ的な硬質な音へと三段階で展開される構成もよく練られていて今改めて聴いてもやはりすごい。

クラブフロアでもじっくりリスニングでも楽しめる完成度の高い内容。

ハードテクノ一辺倒ではないのがデリック・メイの妙味↓


以上、全5タイトルをご紹介。

いずれも今なお色褪せない名作揃いで筆者のCDラックでもいまだ現役のラインナップ。

中古市場でも比較的手に入れやすい価格なので見つけたらぜひ手に取ってみてほしい。

テクノDJ MIXの奥深さと魅力がぎっしり詰まった時代を超える良盤。

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